忍者ブログ
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
http://altoxxx.blog.shinobi.jp/
空に向かって手を上げて
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

久しぶりに投稿してますが…
恐ろしく仕様が変わってるーwww
ちょ!
一体何がどうしてこうなったのか誰か教えてwww








偶然って本当にすごい。
ザーフィアスに滞在するエステルに会いにやってきたリタがいる時に手紙が届いて、リタをエステルの部屋に案内する役にフレンが城門の前で待っていたのも偶然には出来すぎていると思う。
奇跡って言うか、必然って言うか、エステルに送った一通の手紙で総ての役割を果たす事になったんだ。
偶然とは本当にすごすぎる。
ジュディスの予想通り夕方にはリタたちが駆け込むようにアジトにやってきて、それから日が沈みかけた頃にハリーと一緒にパティもやってきた。
建築以来こんなにも賑やかな凛々の明星のアジトに何事かと同じ街に拠点を置くギルドのみんなまでやってきてちょっとしたお祭り騒ぎになった。
この街に拠点を置いたギルドの大半はユーリが旅の間にぶっ飛ばしてきた人達ばかりだから、長い間ユーリの留守の帰りを待ちわびていてみんなすごいはしゃぎぶりだった。
レイヴンもジュディスにぶっ飛ばされてから小一時間ほどで目が覚めたらしい。なんでもユーリに邪魔されたとか言っていたけど、レイヴンが戻って来て一番嬉しいのはユーリのはずだから「レイヴンが悪い」って言えば「少年まで酷い」って、もう僕より背が低くなったのにまだ少年のままの呼称に少しだけ拗ねてみた。
背が大きいとか小さいとか僕とレイヴンの年齢差から言うとあまり意味がないらしいけど、僕から言わせて貰うと出会った頃に今と同じ身長があれば少しは違ったかな?なんて考えてしまう。
子ども扱いが嫌なわけじゃないけど、もうちょっとランクを上げてくれても良いと思うのが僕の意見だ。せめて若者とか青年とか。
たぶんこの二つはフレンとユーリの為の呼称で、じゃあ凛々の明星の首領と言う事で首領と読んでほしいと思うも首領と言うのはドン・ホワイトホースに向けられる唯一人の呼称。
滅多に人の名前を呼ばないけど、こういった呼称を使って区別するレイヴンになんとなくずるいと思うのはきっと僕だけじゃないだろう。
レイヴンにしたらきっと意味がある事なんだろうけどいい加減少年はやめてほしいと思う。

レイヴンはユーリの腕っ節を慕って集ったギルドの厳つい人達と何か情報を交換するように忙しなく喋って、その隣でユーリは不貞腐れていた。
きっとユーリもまだレイヴンと喋り足りないんだろうと思うけど、それを我慢して、久しぶりの再会なんだから言うフレンとエステルたちとまるで一年近く顔を見てないはずなのに昨日分かれたばかりと言うように親しげに話しをしていた。
大量に作ったジュディスの料理が尽きて、お店でも開く事が出来るんじゃないかと言うようなお酒もなくなった所で凛々の明星以外の人達には酒場の方へと移ってもらう事にした。
とたんに静かになった室内ではレイヴンとユーリを囲むように反省会が開かれていた。
みんなお酒が入って理性がちょっと危うげだけど、それでも何処か穏やかな空気が流れていた。
エステル達が来るまでに集っていた近所のギルドの人達によって晴らせなかった鬱憤は既に毒気が抜かれている。
きっと明日には思い出してリタが爆発するかもしれないけど、お酒に酔ってうとうとしかけているエステルを支える事の方に優先権を与えていた。
「もう黙って何処か行かないで下さいねレイヴン・・・」
半ば夢現と言う口調にレイヴンははい。解りました。と答えるも信用性はかけらも無い。
だけどエステルには十分でニッコリと笑って
「約束です」
無条件に振舞われる笑顔のそんな優しい攻撃にレイヴンはただ苦笑していた。
ジュディスにブランケットをかけてもらったエステルはそのまま静かな寝息を落とす。
強行軍の旅路に疲れている彼女の眠りを妨げないように場所を少し移動して火の焚かれていない暖炉の前に椅子を集めてみんなの顔が見えるように座る。
ユーリは机に肘をついて僕達の約束を破ったのに反省の色なしと言うようにそっぽを向いているけど、フレンに言わせるとこれでも怒られるのを覚悟している態度だという。
騎士団時代の上司はさぞ大変だっただろうと同情を禁じえないも、その隣にいるレイヴンに至っては「俺様まったく悪い事してないもんね」とでも言いたげな顔をしていた。

「だけど、ご無事で何よりでした」

最初に口を開いたのはフレンだった。
穏やかな笑みを携えて真っ直ぐにレイヴンの顔を見る。
少しだけ居心地悪そうに顔を歪めるのを見てリタが拳骨を一つ振り落とした。

「そうよ!帰ってくる気があるなら何であんな手紙を残すのよ!」

―――探すな。

何て手紙を見たら生きる事に前向きになったレイヴンがまた後ろ向きになったかと思ってしまうのは仕方がない。
だってその手紙を見たみんながみんな同じ事を思ったんだもん。
ユーリの当ての無い探索の成果が無ければ無いほど悲しい思いが積っていく。
ユーリが戻ってこなくなって、手紙さえ届かなくなって、どれだけみんな苦しい思いしたのかと言いたかったけど、散歩から帰って来たって言う態度を見せられた時はさすがの僕でも目に写る事実が信じられなかった。

「だって俺様にもやりたい事とかあったし」
「あら、おじさまにもやりたい事ってあったの?」
「そーなのよジュディスちゃん!おっさんにだってずーっとやりたいって言うかしなくちゃいけない事が山のように溜まっていたのよ」

身振り手振りで説明しようとするレイヴンをリタはうそくさって切り捨てれば何処か不満げな視線を向けていた。

「じゃあ、ギルド辞めてまでしたい事ってなんだよ」

酔いを醒ます為かカラリと氷の崩れた冷たい水を口に含んでハリーが聞く。

「ん?聞きたい?長いよ?」

おどけて言うも隣にいたユーリが

「俺も聞きたいな。出来るだけ完結にお願いしますか」
「へ?ユーリも聞いてなかったの」

ずっと一緒にいたんだから何か聞いてるのかと思ったけどユーリは当然と言うように口角を上げて笑う。

「聞くときはみんな一緒だろ?」

ずーっと一人だったユーリからみんな一緒と言う言葉が出て気て、何かくすぐったくてへへって笑ってしまう。
だって嬉しいんだからしょうがないんだもんと言うように笑っていれば後頭部に久々の痛み。
ゴンッ何て音が聞えたと同時の痛みにいつの間にか隣に立っていたリタがしれっと言う。
話しが進まないでしょ。って。
相変らずだなと思うもみんなの視線はレイヴンに話しを促していた。

「前々から、そうね。大将とザウデで別れた時から考えていた事なんだけどね、ちゃんと考えたのはタルカロンから帰ってきてから。
 まあ、身の振り方ってやつを考えていたのよ。
 当面は新しい態勢になった騎士団とギルドにこんな裏切り者でも役立てばと出来る限りの事をしたつもりなのよ。
 で、三年が経ってそろそろいいかなって思って・・・」
「って言うか、三年は短過ぎだろ」

ハリーの小言にレイヴンは今まで喋っていた態度をがらりと変える。

「確かに長いとはいえない。だがなハリー、フレン。
 長と言う立場に立つ人物に三年は長いと思わないか?
 三年も指導されて一人立ちできない長ならその能力を疑わざるをえないだろ。
 それだけの時間をかけてまだ無能なら次の者を起てる方が下に付く者には親切と言うものだ。
 俺が側にいる事で一人で決断も出来ないのなら、居ない方がマシだろ?」

ぐっと息を飲み込むハリーとは反対に静かに瞠目するフレンは一つ頷き

「僕の甘えでした。ご指導ありがとうございました」

頭を下げた。
尊敬すべき、目標とする人物からの依存を断ち切るような別れにレイヴンは擽ったそうに笑うけど、ハリーはまだ何処か納得行かないような顔。仕方ないよね。ドンの右腕として活躍していたレイヴンの存在はいなくなった合間でもその名前だけでもハリーを支えていたんだから。
天を射る矢の人達に言わせると年の離れた兄弟みたいなもんだと言わせるだけあって、上司と部下と言うフレンたちの関係とは違いもっと家族的なつながりだっただろうハリーとレイヴンの繋がりがこうやって切れるんだから、納得できないよねと口を挟む事の出来ない余所のギルドの事情に強く手を握り締める事で行き場のない感情を押さえつける。

「でもまあ、これからは一個人の友人として相談ぐらいならいくらでも乗ってあげてもいいわよ」

はじかれるように顔を上げるハリーと、喜びに顔を輝かせるフレンは早速じゃあと切り出して、少し罰の悪そうな顔でお互いを見ていた。
そんな二人にやってらんないというリタの呟きにジュディスは小さく微笑んで

「で、おじさまは一体この二年何をしていたの?」

肝心な事をまだ聞いてなかった。
その質問がついに来たかと言うようにレイヴンは苦笑して視線を火のない暖炉へと向ける。

「墓参りとね、昔の知人に会いに行ってたのよ」

墓参り、昔の知人。
シュヴァーンに繋がる過去にジュディスの視線が少し険しくなる。

テムザ山。

シュヴァーンが死んで、シュヴァーンの初恋とか仲間とか総てが跡形もなく眠る山。

「考えたらテムザで花を添えたのキャナリだけだったろ?
 他にも部下とか仲間とか、どうでもいい奴もいるけど騎士をやめた時には墓参りしようと決めててさ・・・
 その後、生き残った人魔戦争の本当の英雄達に会いに行って来た」

本当の英雄・・・
レイヴンだって英雄なはずなのに、一度死んで魔道器で生き返った自分は英雄じゃないという意味合いを含めての言葉に胸の前で組んだ腕を叩くリタの指がいらだたち気に腕を叩いている。

「人が人形のように脆く引き裂かれていくような悲惨な戦争だったからな。
 生き残っても正常な精神の奴なんかほとんどいなくて、ほとんどが退役して静かに隠れ住んでるんだよ」

刃物を見たら返り血に染まるフラッシュバック。
地形すら変える魔物の一撃に隠れる意味を持たない恐怖。
意味を成さない武器と盾。
血に染まる大地と隣にある息途絶えた骸。
骸の中に埋もれて守られる安らぎの一時。
そんな狂った戦場で生き残った地獄を味わった不運な生人のその後の運命は悲劇極まりない人生を送っていた。
酒におぼれる者や死を求め自らの命を絶った者。
10年の歳月に騎士団が掴んでいた退役した者のリストは大幅に修正が必要となっていた。
あの戦争後、テムザで戦った者達はほとんど騎士団には残らなかった。
俺のように道具となり果てて心を殺して大将の言われるまま生きていれば楽だったけど、運良く生き残った奴達は騎士団に身を置く場所がなくなっちまって。
ああ、考えてみれば大将も人魔戦争の被害者だったなと小さく呟いた。
今までざっくりとしか話しを聞いた事がなかったけど、レイヴンの生々しい思い出に誰ともなく息を殺して耳を傾けていた。

「んで、やっと退役する事になったおっさんはそいつらに挨拶してまわってきたって言うわけ。
 みんな結構動いてるから足取り掴むの大変でさぁ、気が付いたら二年もうろうろしてたわけだ」

さっきまでとは違うとたんに明るくなった何時ものレイヴンには吹っ切れたというように笑みさえ浮かべていた。

「随分と無茶をなさる」

ひょっとしたら見付からなかったらずーっと探すような事になるのではとフレンの言葉におっさんは肩をすくめる。

「探すって言っても、もうほとんど生き残ってなかったしね。
 唯一見つけれなかったのはあいつだけよ。デュークだけ」

もう逢ってるからあえて探す必要もないけどねと付け加えて何時もみたいな笑顔を僕達に向けた。

「そういや、俺も結構うろうろしてたけどあいつとは会わなかったな」

ユーリも思い出すように言うもフレンがではと聞く。

「レイヴンさんはもうどこにも行かないというわけですか?」
「どこにもって、まあ用事ができれば出かけるけど。
 そうね。こう言う無謀な旅には出かける用事はなくなったわね」
「どこの誰かさんが世界を滅ぼそうとしなけりゃな」

おどけて言えばもう勘弁してほしいわとリタまで言う始末に過ぎ去った日に誰もが笑っていた。

「当分は無所属でその辺ふらふらしてるけど・・・」
「あらおじさま、そんな暇あって?」

暖炉横の壁に背中を預け、小首傾げるジュディスは妖艶に笑う。
あまり良くない笑い方だと思わずレイヴンに視線を向ける。
同じようにかわいそうなものを見る目でみていたリタに予感は当たったも同然だろう。

「おじさまは凛々の明星のユーリを二年間も独占したんですもの。
 二年間の間ユーリが凛々の明星にもたらすはずだった利益を無駄にしたの。
 不利益の分はおじさまに支払ってもらわなくてはね」

守銭奴と言うかなんと言うか・・・ユーリは倒した魔物から得た素材とか武器とか送ってきてくれてたからはっきり言って不利益なんてまったく無いのだけど・・・と、ちらりとジュディスを見れば、彼女は艶やかに笑う。

「別にお金で支払ってもらわなくてもいいの。私達のために体で支払ってくれると嬉しいんだけど」

前屈みにレイヴンの顔を覗き込んで胸を強調するように腕を寄せる。
顔を真っ赤にしてその胸元に食いつくような視線のレイヴンの足をユーリは踏んづけてみせるもお構いなし。
こんな大人にはなりたくない・・・

「無所属でもかまわないわ。ご飯の準備とか連絡係とか雑用を引き受けてくれるととても助かるの」
「そりゃもちろん、ジュディスちゃんのお願いなら何でも」

胸ばかり見ていたレイヴンは気づかなかっただろうけど、ニッコリと笑うジュディスの凶暴な微笑みに誰ともなく息を飲み込み、レイヴンの近い未来に幸福であれと祈りを捧げた。




知らぬは本人ばかりの恐怖の約束が交わされた後、僕達はそのまま雑魚寝をするよう座ったままの場所で眠りについていた。
夜が遅かったから目が覚めた頃は既に太陽が空高くに昇っていた。
眩い陽光に欠伸をかみ殺しながらキッチンに乾いた喉を潤しに向う。
僕の足音にラピードが顔を上げる中、リタを踏まないように注意して跨ぐ。
無事キッチンまで辿り着いてコップに水を汲んで飲み干せば、やっぱりみんなもそろそろ起きる時間。
音を立てないように注意していてもかすかな生活音が目を覚ます音にもなる。
どこかで誰かの目覚める音が聞えた。

「おはよう」

キッチンの入り口から声をかければ

「もうこんな時間・・・」

ジュディスの何処か驚いた声にリタもユーリも目を覚まし、同じぐらいにフレンも目を覚ました。
一番最初に眠ったはずのエステルが一番最後に目を覚ましておはようございますと丁寧な挨拶におはようと返せばユーリが落としたポツリとした声。

「おっさんは?」

誰ともなく周囲を見回す。
昨日の最後の記憶はユーリの隣に居た筈だったのに、その場所は温もりもないくらい冷たくなっていた。

「おっさん?」

ユーリは立ち上がり周囲をきょろきょろと見回し、壁にかけられた剣を握りしめて青ざめた顔でふらふらと外へ続くドアへと足を向ける。

「ユーリ?」

ジュディスが止めようと腕を掴むも振り払って今にも飛び出そうとするユーリを今度はフレンが止めてくれる。

「どこ行こうとするんだ?!」
「どこってまた居ないんだよ!おっさんがっ!!!」

フレンさえ押し返してユーリが今にも飛び出そうとする扉が外から開いた。

「どったのー?大きな声出して。外までまる聞こえよ」

ユーリと名を呼んで強張った顔を一撫でするのを僕達はただ見ていた。
大きな買い物袋を抱えてなにやら小声で楽しそうな声で話しをしているようだけどレイヴンの目はまったく楽しそうではなく酷く慎重な色を灯している。
なにやら話した後ユーリは洗面所の方へと向かって行き、一つ溜息を落としたレイヴンはくるりと僕たちの方に振り向いて苦笑。

「と言うわけだから、ご飯の用意しちゃいましょ」

ふんふんと鼻歌を歌いながらキッチンへと消えて、その後を追うように顔を洗ったユーリがキッチンへと入る。
何やら楽しそうな声が聞える中誰ともなく顔を見合わせて隠し切れない困惑を浮かべる。

「なんなのよアレ」

リタの冷ややかな声に誰も答えられないで居た。

拍手[5回]

PR
"椎名" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.