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単発でフレレイです。
初々しいフレレイ目指してみました。
全然フレレイになってませんがな…







憧れていた、焦がれていたあの方が目の前に立っていた。
正面から見られているというだけで頬が上気してしまう緊張に口の中が酷く渇く。
見知った姿とは違い、少し長めの髪を一つに束ね、紫色の大きめの服を羽織るように纏っていた。
裾は隊服のような切れ込みがあり、一見だらしがないような風貌にも係わらず戦闘中でも邪魔な素振りの一切ない身のこなしはまるで衣装をまとっての舞のよう。
その動きはまさにあの方の物。
いつか見た剣技に僕も辿り着きたいと日々訓練をこなしていたが。
僕の目標でもあるシュヴァーン隊長が目の前に立ち何処かくすぐったそうに笑っていた。
「ギルドのおっさん相手にそんな緊張するまでもないだろ」
「ですが・・・」
姿をお見かけしてもなかなか話しかけづらい騎士団の生活になれている僕としては、このようなプライベートにも近い状態で話しをするのは何処か夢心地気分にも似ている。
運悪くというか、僕は今までシュヴァーン隊に配属された事がなかった。
憧れていたのに、隊も違うのではこうやって話す機会はないに等しく、その中での偶然は本当に奇跡にも近かった。
のに、このまま話しさえ始めればいつまでも話が出来るなんて機会に恵まれるとは思いもせず、今まで聞きたかった質問や話してみたい想いは総て何処かへと退散していた。
「それよりも宿に行こうか?そろそろ青年達と合流するぞ」
話が続かないと見てかくるりと裾をはためかせながら歩き出した背中に溜息を零す。
これじゃあまるで初恋でもした子供じゃないかと溜息を零せば「如何した?」と少しふりむいた顔が夕焼けに染まっていた。
「何でもありません」
慌てて駆け寄ればシュヴァーン隊長改めレイヴンさんは城では見かけた事のないような上機嫌な顔をして
「そう言えばこの町で取った宿は二人部屋しかないんだが」
脈絡もなく始まった会話にそうなんですかとあまり合理的では無い宿泊施設にその意味を探る。
「カロル少年の寝言はうるさいから青年に押し付けて、フレンはおっさんと同室にしよう?」
青年には悪いけど疲れて休みたいのにあの寝言じゃ休めないんだ何て初めて聞いた愚痴に思わずポカンと、そしてなんだか妙に身近に感じてしまう。
「公平ではありませんよ?」
「ならフレンもあの寝言を一度体験してみると良いぞ?」
「うーん、さすがにそれはちょっと・・・」
言って小さな声でユーリゴメンと呟けばそれこし珍しい姿を見てしまった。
城でお見かけした時は一度も見た事のない感情豊かな笑みを浮かべて笑っていたのだから。
それこそこっちの方が恥かしくなってしまうそんな笑みに僕はきっと真っ赤になっているだろう顔をさっと背けるのがせいぜいだった。

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