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兄弟ネタをよく見て悶絶したりするのですが…
兄弟ってどこまで通用するのか実験してみたり。
サッソクコウカイデスヨ…
兄弟ってどこまで通用するのか実験してみたり。
サッソクコウカイデスヨ…
「おい、レイヴン。まだ正月明けてないのに本家に立ち寄って良いのか?」
「そんな事俺様が知るわけないでしょシュヴァーン」
まるで城門では無いかと言うような巨大な門構えの家を前に、その隣の小さな通用門をくぐる。
俺達兄弟にはこの正面門を通過する資格がなかった。
今は亡きこの屋敷の主の愛人が身ごもった子供。
それが俺達の身分だから。
一応大学まで卒業させてもらえたが・・・父親亡き今は俺達の腹違いの長男坊に時々呼ばれたり、かまい倒されたり。
「それよりももうちょっとマシな格好は出来なかったのか?」
あまりにもジャージ姿の俺の格好が酷いと言いたげな目線に
「仕方がないじゃないの。明日から学力テストなんだもの。問題作るの大変なのよ?」
そして採点するのはもっと大変なの。
なんて言分けをしている合間に個人邸宅ではなくホテルでしょ?なんて言いたくなる様なデカイ家へと入れば
「おや、今頃になってやっと来たのデスカ?」
ホールを横切ろうとしたイエガーにばったりと遭遇。
この顔を見るとぐったりとしてしまうが
「お前もきてたのか?」
シュヴァーンは俺の気も知らずに淡々と疑問を陳べた。
「ユーたちが来るのが遅いとブラザーはかんかんデスヨ」
外国生活が長かった為にかわいそうな言葉を扱うが
「アレクセイ兄ちゃんに怒られるー」
本人を正面にそんな風に間違っても兄ちゃんなんて呼べない。
シュヴァーンもさすがに渋面を作り
「レイヴンが寝坊するからだ」
「どっちにしても早くゴーしなサイ」
「はいよイエガー兄ちゃん」
「兄ちゃんはやめなサイ!」
ぶるぶると体を震わしてキモチワルイと言うのは俺達の3番目の兄にあたり、やっぱり俺達とは違う別の愛人に産ませた子供だった。
ただ俺達の母親とは違いアッパークラスのお嬢さんだった彼の母親はこの家に属する人間として十分認められていて、やっぱり俺達とは別の人種だった。
寧ろ同種に思われたくはない。
優美に弧を描く階段を上がった先の部屋のドアをノックする。
重厚な作りのドアが音もなく中から開けばそこには眩いシルバーブロンドの
「デュークも来てたの?」
「はいれ」
腰までとどかんというような見事な銀髪を揺らしながら部屋の奥の暖炉の前に座る彼とよく似た銀髪を見つける。
「アレクセイ、私はレイヴンとシュヴァーンの顔を見たから帰らせてもらう」
「そう急くな。折角兄弟五人そろったのだ。たまには夕食でも食べていけ」
デュークとそっくりな赤い目が振り返り立ち上がった。
父親譲りの銀髪と赤い光彩の瞳を強く受け継いだ長男と次男はたしかに兄弟と言っても間違いでは無いと思うのだが、やっぱり母親は違うせいか、体格も雰囲気もまったく違う。
言い換えれば髪と瞳の色が同じだけのまったくの赤の他人。
親父の手癖の悪さはもう病気みたいなものだから、今更なにも言わない。
暫くして部屋に戻ってきたイエガーの顔を見ながらよくこれだけ似てない兄弟がそろった物だと呆れていれば
「そうだ。シュヴァーンにレイヴン」
デュークとの話しを途中でやめて何かを思い出したように俺達二人を指名した長男は羽織っていたカーディガンのポケットからなにやら小さな封筒を取り出す。
「お前達にお年玉だ」
「わーい。三十過ぎても嬉しいなシュヴァーン」
「アレクセイ兄さんありがとうございます」
「見事な棒読みだ」
デュークの感心したような呟きさえ聞えないというように満足げな顔をした長男アレクセイはまた暖炉正面のソファーにゆったりと座りなおした。
***
そんなコユイ五兄弟の話。
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