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つ、続けちゃいました…
レイヴン先生ってやっぱりいい響きだよね。






「なぁおっさん。今度おっさんちに遊びに行っても良い?」
「だーめ。おっさんの家はガキの溜まり場じゃないの」
「一人暮らしで女いねーくせに・・・そうだ。俺掃除とか料理とか得意だから世話しに行ってやろうか?」
「悪いね。独身も35年やってるとそれなりに上手くなるのよ」

物理準備室のソファーで普段は一纏めにして校則に触れないように結い上げている髪を解いた青年が伸びをしながら俺を見上げながらからかっていた。
何故か此処が居心地良いからと言って休み時間のたびに現れるようになった学生に絡まれるようになってどれだけが過ぎただろうか。
本気で生徒会へと一度取り締まってもらわないかんな、なんて考えながら電気コンロで沸かしたお湯でコーヒーを作る。
ミルクも砂糖も入れないインスタントの安い味はそれでも喉を潤し体を温めてくれる。
そして毎度のように現れるようになった青年にも同じ物を手渡せば自分で調達してきた砂糖とミルクをたっぷりと入れて、いくらインスタントだからと言ってもそこまでする必要があるのかと言うくらい味を変えたものにゆっくりと口をつけた。

「だったらいつになったらおっさんの家に遊びに行って良いんだよ」
「そうねぇ。ユーリ君がおっさんの事をちゃーんとレイヴン先生って言えるようになったらチョットは考えてあげましょうか」
「考えてやっぱりダメだって言うんだろ」
「よく判ってるじゃないの」

良い子良い子と言う代りに戸棚の引き出しから取り出したラムネを一つまみ与える。
飴よりも短時間に食べる事が出来、ガムのようにいつまでも口に残らなく、安い。
間違っても自分の口に入れるものではないがちょっとしたご褒美に与えるには丁度良い物だとレイヴンは思う。
それを青年はすぐさま口に入れて

「じゃあさぁ、どうしたらおっさんの家に遊びに行けるんだよ」
「ヤローが家に来るのはお断り。だからユーリ君がうちに来るのは間違ってもない話ね」
「一人暮らしのくせに寂しいなあ」
「一人暮らし一人暮らしって言うけど、おっさん別に一人暮らししてるわけじゃないのよ」
「え、女居るの?・・・って、おっさんじゃそれは無いか。ひょっとして男・・・」
「自問自答しない。間違いないのが悔しいけど、そんな青年が考えるような不埒な間柄じゃないわよ」
「・・・」
「人を疑うような視線はヤメナサイ」
「じゃあ、一体誰だよ」
「兄と一緒に暮らしてるのよ」
「兄弟いたのか?初耳」
「あっちは本気で忙しい身分だからね。家に居る時ぐらいちゃんと休ませてあげたいのよ。
だから人をうちには上げないの」

こう言う理由だから絶対にゆずれないことを強調すれば、さすがに諦めなくてはいけないというようにうなだれた。
視線をカップの底にほんの僅かに残したコーヒーを揺らしながら何かを思いついたように顔を跳ね上げて

「だったらうちに来いよ。俺一人暮らしだから迷惑かける相手いないし」
「男の一人暮らしの家にホイホイ遊びに行くほどおっさん軽くないの」
「えー、じゃあさ、勉強会とか」
「フレン君とか優秀なお友達居るじゃない。まずはそっちで脳みそ鍛えてもらいなさい」
「フレンの説明はやたら長いから眠くなんだよ。だからさ・・・」
「はーい。時間切れ」

同時にキンコンカンコンと始業のチャイムが高らかに鳴る。
眉間を歪めて仕方がないというように溜息を吐いてソファから立ち上がり、くるくると髪を束ねた。

「じゃあ、次は昼休みに来るな」
「そんときは焼きそばパンとコロッケサンド買ってきてね」
「了解。メロンパンとチョココルネだな」
「そのダブルパンチだけはやめてっ!!!」

次の授業の準備をして廊下にを反対方向へと歩き出した物理教師の悲鳴に目の前で焼きそばパンとコロッケサンドを食べてやろうかと企んでみるも、逆に泣きながらメロンパンとチョココルネを食べる姿を見ながらの食事風景は不毛だなと考えながら、仕方がないというように購買に寄り道をして4種のパンの取り置きと言う完璧に手に入れるための裏技を仕込みに足を運んだ。

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