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サイト運営をかれこれ10年ほどやってますが、ブログをメインに使うようにしてから常にサイト構成に四苦八苦です。
どうすれば見やすいか使いやすいか、リンクたどりやすいか、埋没しないか、無駄を省けるか結構頭使っているつもりです<ヲイ
普通のサイトの時はHTTPかじってみたり、変なトコにブクマつけられないようにとか、転写されないようにとかいろいろ考えながらやってましたが、もうどうでもよくなりましたね(笑)
意外と潔癖症な時代があったことに苦笑してしまいます。



子ども扱いしてんじゃねぇよ
歯痒い想い(R18)
誰だよ、あの人
何時の間にこんなに
もし、もっと早く生まれていたら
俺の知らない、アイツ
年下のくせに、何であんなに
空回りして馬鹿みたいだ
余裕、綽々。

恋に年の差なんて









少し前に小隊長として私自ら抜擢し配属したシュヴァーン・オルトレインの声に視線を向ける。
不思議な事に貴族のキャナリ小隊長とイエガー小隊長と馬が合うのかよく三人で一緒にいる姿があった。
年も近いせいか貴族平民わけ隔たりもなく仲の良い三人組だと思いながら、平民出身のシュヴァーンがこの私の隊に上手く溶け込んでいる姿に自然に笑みが浮んだ。

そんなある日、訓練所の近くの廊下を通った時不意に茂みから呻く声が聞えた。
聞き覚えのある声に周囲を見回せば、そこにはぼろ雑巾のようにシュヴァーンが棄て落ちてあった。
「シュヴァーン」
慌てて駆け寄れば、
「アレクセイ、隊長・・・」
見苦しい姿で申し訳ありません何て言う搾り出した声にとりあえず意識がある事に安堵し、そして怪我がないか調べようと手を差し伸べれば彼はそれを振り払うように叩いていた。
「あ・・・」
本人でも予想外と言うような行動だったのだろう。
戸惑った視線と慌てて「申し訳ありません」と何処か青ざめて謝罪を陳べる言葉に改めてシュヴァーンの姿をみる。
ズボンのベルトははずれ、シャツのボタンはただ合わされたように重ねたもの。
そしてこの態度だ。
何があったか一目瞭然で、最初に気付けれなかった自分の配慮に舌打ちをした。
「歩けるか?」
「はい」
よろよろと立ち上がり、私の一歩後ろを何とかと言うようについてくる足音に合わせ歩みを緩める。
なるべく人の目を避けるように道を選んで少し遠回りだったが何とか人目に付かずに部屋へと導く事に成功した。
「向うに風呂がある。使いなさい」
「ですが・・・」
躊躇う彼の背中を押して風呂に閉じ込めるように押しやった。
暫くしてから水の流れる音に安堵すれば、適当な服と清潔なタオルを用意し、風呂場へと続くドアを開けた。
「これを使いなさい」
サイズは合わないだろうが、あんな行為の名残を残す泥まみれの服を着せるよりはマシだろう。
「あ・・・ありがとうございます」
何処か怯えたような声に思わず眉を顰める。
浴室で水を浴びる裸体には無残な傷と、無体な名残。
そんなものさえなければまだ若いながらも鍛え上げられた無駄のない剣士としての理想的な肉体なのにと思いながら、長い事見ていたのだろう。
何処か恥かしげな声で「あのー」と控えめな声。
思わず我に返ってシュヴァーンにタオルを頭にかぶせる。
「薬を用意してある」
ごしごしと頭を乱雑に拭いてから、裸体の彼を部屋へと移す。
濡れる足元に慌ててタオルで拭う彼をよそ目に小柄なせいか何処か小さく見える背中へと回る。
白い軟膏を傷口にペタペタと拭いながら言葉を掛けた。
「こんな事をしたのはどいつか覚えてるか」
ひくりと方が一瞬震えるも絞り出したような声は
「顔は見ていません」
そんなわけないだろう。何故庇うのかと思うも、たぶん小隊長に格上げされたシュヴァーンに嫉妬する人物辺り。
平民のくせにとよく耳にした事から相手は貴族。
誰と言っても揉み消されるのが関の山と言いたげな背中が妙に悲しい。
「こう言う事は過去にもあったのか?」
「今回が初めてです」
これもうそだ。
直感がそう宣言する。
初めてならもっと、そう。
怯えてもいいのだ。
なのに彼は今、私の目の前で裸体をさらして人の手が触れる事に耐える事が出来ている。
「恋人はいるのか?」
さすがにこの質問は予想外なのか「は?」と聞きなおしたあと小さな声で
「残念ながらいません」
残念なことらしいのかと苦笑しつつ、
「せめてもの幸運だと思いなさい」
背中の傷に総て薬をつければ前に回って、腕を掬い、指の節々の皮のめくれた場所にも丁寧に薬を塗りつける。
「所でアレクセイ隊長・・・」
控えめにだが私のなを呼ぶ声は何処か泣きそうで
「服を着てもよろしいでしょうか」
そう言えばいまだ裸体のまま目の前に立たせていた事をうっかりと忘れていた。
だが隊長としてうっかりとか、一瞬でも剣士としてのバランスを理想を兼ね備えた体に見惚れていたとは口には出せず
「まだ治療の途中だ。もう暫く我慢してなさい」
擦り剥けた膝小僧に薬を塗るフリをして思わず頭に浮んだいいわけに顔が熱くなるのを誤魔化し、、目の前の張りのある太腿に目が奪われたなんてとても今の彼に言う事は出来ない。
ゆっくりと軟膏を塗り終われば丁寧に薬の瓶の蓋をしてシュヴァーンに手渡す。
「あまり使う機会がなければ良いのだが、もっていなさい」
「でも、これは・・・」
素材が手に入れば作れる薬とは違い古来からある自然の恵みと知識で作られた貴重な薬。
調合などは門外秘密な所があるせいかなかなか手に入れる事は難しく、その前に流通の絶対量さえないに等しい。
「私ならばすぐ手に入れる事が出来るものだ。気にする事ない」
平民と貴族の隔たりをあえて口にすれば、何処か曇ったような顔が俯き床を見詰める。
「それよりも早く服を着なさい。風邪を引く」
散々裸のまま立たせておいて自分の言葉も結構ひどい物だと思うも、とたんにはじかれたように慌てて服を着込む彼の姿に苦笑。
一回りも大きな服に身を包んだシュヴァーンの・・・何て可愛らしい姿だ。
「隊長、笑うのはかまいませんが勘弁してくださいよ」
真っ赤な顔の翡翠のようは瞳には羞恥の色が浮び、おまけと言うか涙まで溜まりかけている。
「今後、こう言う事があったら相手の顔を記憶し私に報告するように」
くつくつとついに零れ落ちてしまう笑い声に、さっきまで死にそうな顔をしていた男は今はもうない。
もう行けと下がらせれば、指先にベトベトと名残を残す軟膏にシュヴァーンの肌の感触を思い出す。
「7つも年下の男に私は何を思ってるんだか」
浅黒い肌と心地良い温もりを噛み締めるように強く手を握り、廊下に待機する騎士にイエガーを此処に呼び出す事を伝える。
乱れた規律は正さなければいけない。
シュヴァーンは顔を知らないと言ったが、イエガーならきっと見つけ出す事が出来るだろう。
そしてシュヴァーンに気付かれる前に処分を決めなくてはいけない。
守るべきは私の隊であって、シュヴァーン個人では無いと自分に言い聞かせながら、酷く個人的感情に動かされている心中の歯がゆさに気付き、知り合って間もない相手と言うのにあの肌を思い浮かべてうろたえながらも笑みを浮かべた。

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