忍者ブログ
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
http://altoxxx.blog.shinobi.jp/
空に向かって手を上げて
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

完成しなかったお題特集(爆)
うん。今も気持ちはあるのよ?
自分の気持ちを盛り上げるために行ってみよう☆



子ども扱いしてんじゃねぇよ
歯痒い想い(R18)
誰だよ、あの人
何時の間にこんなに
もし、もっと早く生まれていたら
俺の知らない、アイツ
年下のくせに、何であんなに
空回りして馬鹿みたいだ
余裕、綽々。

恋に年の差なんて








風邪を引いたのは随分と久しぶりだと思った。
砂漠に行ったり雪の降る街に行ったり気候差が原因だろうと言われたが、よりにもよって何で俺だけかと思うと溜息が出るのは風邪のせいだけでは無いだろう。
「ユーリの場合はずーっと帝国に住んでいたからね。あまり変な病気とか免疫ないから仕方ないわよ」
いくつもの緑色の葉っぱをすり鉢でゴリゴリとすり合わせるおっさんの説明にいみわかんねーと視線を投げる。
「騎士団は巡業の旅で何所かしこで免疫作ってくるからねぇ。大体の病には慣れっこになるのよ。
んで、同じようにギルドの人間もそうだし、パティちゃんもジュディスちゃんも同じ理由かしらね。リタっちは風邪の方が逃げていく感じだけど、嬢ちゃんは根っからのヒーラーだからかしら?旅に出る前から風邪を引いたなんて話聞いた事もなかったわね」
何種類もの葉っぱをすりつぶしたすり鉢に熱湯を注ぐ。
いっきにムワッと青臭い匂いが立ち込めて嫌な予感が広がる。
「まさかそれを飲めって言うんじゃねーだろうな」
かすれたガラガラとした声におっさんは無理して喋るんじゃないと言いたげに顔を歪ませる。
「昔から伝わる薬よ。パナシーアボトルも今じゃ貴重品なんだから我慢しなさい」
湯は少量だった為にどろりとした質感をかもし、これを飲めと差し出されたものに頬が引き攣るのは仕方ないだろう。
「味はサイテーだけど、効能は保障するわよ」
茶目っ気たっぷりにウインクするおっさん曰く、なんでも騎士団時代の遠征で支給品も支給されずに結界の外に放りだされた時に身につけた知識だという。
どろりとした液体を睨みながらえげつない時代だと思いながらもあまりの匂いに口につけないでいればおっさんは仕方がないというように溜息を付く。
「ホントはぐびーっと一気に飲んじゃう方が楽なんだけどね」
飲める事が出来るなら確かに楽だろう事を言いながら羽織の袖から両手で包めばすっぽりと納まる程度の小瓶を取り出した。
透明な、少し所じゃないとろみのある液体を薬に混ぜる。
「今度はなに入れたんだよ」
「ふっふっふ。それは後のお楽しみ」
スプーンで混ぜ合わせれば糸を引くまでになった曰く薬と言う物体を
「あーん」
目の前に差し出されてさすがに殺意がわいた。
「何のつもりだ」
喉の奥ががさがさと痛いが面白半分のその顔を見れば仕方ないというものだろう。
「ユーリ君はお薬が嫌いなのかしらってね?」
「んなわけねぇだろ」
売り言葉に買い言葉。
小さなすり鉢ごと奪い取ってどろどろの緑色になった液体をスプーンですくっておそるおそると口へと運ぶ。
「あ・・・」
想像した味とは別の味が広がった。
どこかしてやったりと言ったような顔で目を細めて笑うおっさんに少しばつが悪く、でも言った言葉の手前と言い訳しながらおっさん特性の薬を総て飲みきって見せた。
おっさんは何も言わず、空になったすり鉢を受け取って
「後は寝ていればよくなると思うから、ゆっくりしてなさい」
ウインクを一つ残してドアの向うへと去って行ってしまった。
扉の閉まった場所から少し手前に視線を合わせる。
小さなサイドテーブルに置いたままの透明な小瓶に手を伸ばし、その中身を確認する。
とろんとした液体を指先ですくって口へと運べば、水さえ痛みを訴える喉に優しく広がる甘みに苦笑。

「水あめで薬のますなんて、子ども扱いしてんじゃねぇよ」

苦笑しながらもう一舐めして小瓶をサイドテーブルに戻し、カーテン越しの柔らかな日差しの中なんとも言えない至福を覚えながら瞼を閉じた。

拍手[3回]

PR
"椎名" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.