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空に向かって手を上げて
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フレレイ要素のコユイユリレイです。
たぶんユリレイです。

だんだん自信がなくなってきました<待て!!




レイン・レイン 03



仕事に行き詰まり、寝静まった城内で一人執務室に居ると無性に人恋しくなる。
誰でもいいわけではなく憧れて、漸く近くまで辿り着きたかったかの人に。
現実は扉一枚隔てた所には番兵と取り次ぎ役がこんな夜更けなのに揃って待機していてくれて、ソディアが居ないこの時間帯は彼らの誰かが何処か行く度に側についてくる。
少し夜風でも入れようかと窓を開ければわさわさと柔らかな夜の湿り気を帯びた空気が頬を擽る。
こう言う空気に触れると最近知った秘密の庭をどうしても思い出してしまう。
あれからルブラン殿に庭についての謂れを知り、実はとその庭に招き入れてもらった経緯を話さずにはいられなかった。
話しを聞いたルブラン殿は最初おどろいてはいたものの、あの部屋を戴いて10年、やっと他者を招き入れる事が出来た庭と敬愛する隊長の変化に笑みを浮かべながら、ルブラン殿からシュヴァーン隊へ説明してくれる事になった。
だが、あの庭に訪れるとなるとどうしても一人で行くのが条件になる。
しかも今城に居ないシュヴァーン隊長の部屋へと向うのだ。怪しませずに詮索されるのも嫌だと思った時ふわりと草の香りを含んだ風の匂いに振り向き、窓枠に手を掛ける。
「まるでユーリだな」
苦笑紛れに足を掛けて外へと飛び出せば、あれほど重いと思っていた扉をあっさりとない物へと変えてしまった。
シュヴァーン隊長の隊舎と同じようにと言うか、どの隊舎でも同じようにあつらえられた庭はやはり美しい。シュヴァーン隊の隊舎とは違い南向きの庭は驚くほど明るく、そして団長室の庭と言うように趣向と手間を惜しみなく注がれた庭は芸術で、散策しても池があり、小川があり、アーチがあり、贅を尽くしたそんな彫刻まで転がるように飾られて楽しい事には変わらないがフレンにとって心休まると言う場所ではなかった。
周囲を巡回する騎士を避けるようにシュヴァーン隊隊舎へと潜り込んだ。
シュヴァーン隊長から団長ともあろう方が木々の枝を伝って忍び込む真似をしないようにと言って預かった庭へと続く扉を開ければ、城の城壁の壁を覆いつくさんとした緑と団長室の庭とは違い色数の限られた庭はやはり落ち着く物が在った。
何時ものようにベンチへと向かえばそこに人影が一つ。今はまだその姿がないはずの姿がそこにあった。
鎧を外し、隊服を纏った庭の主が酒でも嗜んだろうか、酒瓶を幾つか並べ、静かな寝息を零していた。
「お帰りでしたか」
小さな声で囁いてみるも寝息一つ乱れないどこか赤らんだ顔にクスリと笑みを一つ零し
「そんなに無防備に眠られては襲われますよ」
耳元で脅してみるとくぅくぅと言った呼吸音が零れ落ちるだけ。
隙のない人だと思っていたのに目の前でこんなにも無防備に晒されては思わず沸き起こるのが悪戯心。
レイヴンさんの時とシュヴァーン隊長の時とではまったくの違う髪質を指先で抓んで確かめてしまう。
何処かねこっけのように柔らかな質感におどろいてみたり、少し大胆にあまり手入れのされていない顎の無精ひげにも触れてみた。ざらざらとした感触にくすぐったく思いながらも不意に触れたかさついた唇に思わず胸が高鳴った。
時が止まったような中でその唇に指先をゆっくりと滑らせる。
どう言うルートかは知らないが、唇の端が少し切れている所を見るとまた危険な事をしていたのだろうかと考えるも、薄い唇の中央の辺りで零れ落ちた酒気交じりの吐息が指に当たり、そこからは記憶がない。
ただ次にはその薄い唇に重ねるように触れ合っていて、僅かな隙間から潜り込んだ酒気に酔わされたように思考がめちゃくちゃになった。
ただひとつ考えていた事は「逃げないと・・・」その一言だった。
くるりと踵を返して今入ったばかりの扉を出る。
慌てて鍵を閉めてシュヴァーン隊隊舎を急ぎ足で出た。
運良く人目にもつかず、団長室へと向う廊下を真っ直ぐ歩き、部屋の前で待機していた兵士が部屋から出た覚えのない団長が廊下の奥から単独、しかも何処か固い顔で急ぎ足でやってくるのを見て青ざめていた事もフレンは気付かない。
何か言われたような気もしたが
「もう寝るので取次ぎは至急以外は断わってください」
とだけ、そっけなく言って部屋に逃げ込むように扉をくぐった。
後はそのまま言葉どおり隊服のまま頭からスッポリとベットに潜り込みうわあああああ・・・と、なんとも情けない声で腹の底から叫んでみた。
幸いな事に、団長室のフカフカなベットがその声の大半を吸収してくれて外で待機をする兵士が飛び込んでくる事はなかったが、次第に冷静になっていく思考に頭はショート寸前だった。
よりにもよって騎士団の団長ともある僕がシュヴァーン隊長に・・・寝こみを襲うなど・・・・・・
そして振り出しの事件(?)を再度思い出し柔らかなベットの中でゴロリと回転して、頭から床に落ちた。
現実的の程よい刺激が気持ちを落ち着かせてくれて、毛足の長い絨毯の上で手足を放り出し大の字に寝転ぶ。
「次にお会いした時どんな顔でお会いすれば良いのだろうか」
あまりにも切実とした思いとは裏腹に、あの瞬間を思い出す。
ほんの僅かな時間の熱の共有。
擽るかのようにこぼれる呼吸と・・・うわああああ・・・
思わず叫ぶながら布団を巻き込んで転がれば慌てて駆け込んできた兵士と目が合い、思わず見ないでくれと言わんばかりに頭からスッポリと布団を被った。
優しい彼らは見なかった事にしようと言わんばかりに無言で立ち去り、扉の閉まる音を聞きながらのそのそとベットへとはい上がり、その日は一睡もする事ができずに朝を迎えた。

それからフレンの秘密の時間は始まった。
シュヴァーンは帰城予定の前の日には既に到着している事をフレンは知ってしまった。
その予定はシュヴァーン隊の一部でしか知らず、彼らの間ではその一日にも満たない僅かな時間は仮令目にしたとしてもシュヴァーンはまだ戻って居ないと言う事を暗黙の了解としていた。
大概はそんな晩には一人あのベンチで一人静かに眠っていた。
僕はそれを見越して、戴いた鍵を使い無防備なかの人に触れ、想いを強くしていく。
片恋の、しかも告げてもいない一報的な想いにシュヴァーン隊長はどう思うだろうか。
吐き出すことの出来ない勇気と、募る想いに潰されそうになってフレンはついに勇気を奮う事にした。

「シュヴァーン隊長、少しお時間を戴いてもよろしいですか?」

帰城したシュヴァーンの報告を団長室で受けて、では失礼しますと踵を返す前に呼び止めた。
何事?とでも言うようにくるりと目が宙を彷徨うのをみて
「個人的なお話で申し訳ないのですが」
そう区切れば、勘定をそげ落としたシュヴァーン表情に温もりのある笑みが浮ぶ。
「おっさんに相談?役に立てれば良いんだがねぇ」
砕けた口調に緊張の走る心が何処か和らぐ。
どうしたのといわれて机の前に立つ位置と並ぶように席を立ち向かい合うようにその位置を取る。
何処か不思議そうに面白そうに笑う瞳に僕は・・・たぶん顔が真っ赤になってるのではないかと思いながらも一つ大きく吸い込み
「実はシュヴァーン隊長に謝罪をしなくてはいけないのです」
何処か楽しそうな期待を浮かべていた隊長は予想外の切り出しの言葉に小首をかしげる中僕は少し前に戴いたあの庭への鍵を取り出し
「僕はシュヴァーン隊長が帰城の際、前日に到着している事を知っています」
言えば別段気を悪くする事なく手を顎に添え一人頷いていた。
「それを知った上で僕は騎士にあるまじき行動に出ました」
あるまじき行動・・・と呟いて何があったか?と言うように小首傾げるシュヴァーンに僕は断罪を求めるかのように罪を告白する。
「寝てらっしゃるあなたに・・・僕は・・・」
無防備な姿のあなたに口付けを求めました。
声になったか判らないような小さな声にシュヴァーン隊長は無言のまま瞠目。
いつのまにと言うような顔で何か言葉を発するように口を開きかけた所で言葉を重ねる。
「もちろん不純な気持ちでもありません。ただ、どうしてもあなたに触れたかったのです」
すみませんと頭を下げて、もうあの部屋に入る事は出来ませんともう一度鍵を差し出せば驚いた顔が鍵と僕を何度も見比べる。そして沈黙の後あのなフレンと切り出した声に頭を下げままま僕は目を瞑る。
「折角告白してくれたところで悪いんだが、おっさん、その・・・今更知らなかったとはいえないのよ」
え?と顔を上げた所でさっとその顔を反らされてしまった。
「いやな、だって、あれはさすがに気付くだろ・・・」
「気付きますか・・・」
「気づかない方が無理な話です」
言われればそう言えば最初はただ唇を重ねるだけだったが、いつしか薄く開いた唇の合い間に滑り込んで求めた日もあった。
だんだん大胆になる行為に気付かないようなシュヴァーンでは無い。
「ならなんで仰ってくれないんですか」
少しだけ恨むように睨目つければ
「いや、何処までエスカレートするのかなと思ってな」
さすがに寝込みを襲われることは無いだろうからと、どうやら子供の悪戯が何処まで通じるかと信じている様子を楽しんでいたらしい。
「隊長は意地悪です」
「フレンさえ言わなければおっさんも知らないフリをするつもりだったのよ」
悪戯されて怒られるなんて理不尽だと言うように文句を言えば少しだけ困ったような顔。
だけど既にばれてしまった悪戯と想いにもう隠す物は何もない。
「シュヴァーン隊長」
なに?と何時ものように笑みを浮かべて僕を見る瞳を見つめ返し
「隊長の事をお慕いしています」
無言の瞳がその先の言葉を促す。
「ずっと、まだ入隊する前からずっと」
平民でも隊長になった彼を、結界の中から恐怖を覚えるほどの圧倒的な力で次々と魔物を倒して行く姿を見て以来。憧れ、目標にし、その思いがもっと綿密で繊細な物になったのは時間の問題だった。
問題はこんな風に側で語りかける事が出来るかどうかの差。
知り合った最初の頃は挨拶もままならない距離から始まったのだ。随分欲深くなったなと想う反面、念願とは少し違ってしまった物の一つの問題に二人で解決しあう所まで近付いたのだ。
「まだまだ未熟な僕ですが、僕があなたの傍に居る事をお許し下さい」
そこから先は傍らに居ながら近付いていけば良い。
逸る気持ちを抑えながら、あなたの傍にいる事を許して欲しいと言葉の通り願えば、目の前の人物は何処か困ったように眉を下げるのを見て唇を噛む。シュヴァーンは困惑を浮かべる顔に失敗を悟ればフレンと呼ぶ声に顔をさっと背けた。
「傍に居る事をお許しくださいって言われても、既にこんだけ傍にいるのに、今更許可を取ることかしら」
呆れたかのような溜息に思わず強く手を握りしめる。
「僕が言いたい事は!」
言えば冷静な優しげな瞳が僕を見つめ返す。
一瞬で激情を殺がされて、溜息交じりだけど冷静に言葉を並べる。
「あなたを抱きしめて、口付けを求めたいと言うことです。
 あなたに許しさえいただければそれ以上の事も求めたい。
 僕の言いたい傍に居る事とはそういった意味です」
なんだかおかしくなってきた。
あんなにも緊張した言葉なのに、こんなにも冷静に今日の天気は良い天気ですねと言ったような口調で話す事が出来るなんて思いもしなかった。
次第に泣きたくなる気分のまま顔をそらせていればフレンと名前を呼ばれた。
「俺が言いたいのはだ」
言って天井を見上げ、何か考えるかのように視線を彷徨わせた後僕を見る。
「フレンの気持ちに気づいていて、咎めもせず知らないフリをしながら次を期待していた私の気持ちを、察してくれ」
え?と顔を見上げれば赤い顔が振り向きそのまま去って行こうとするのを思わず追いかけて捕まえる。
それでも逃げようとするシュヴァーンを逃げないように部屋の奥の机の前まで何とか連れ戻して逃げないように正面からその腕を捕まえてお互いを見る。
今にも泣き出して逃げてしまうのでは無いかと言うようなシュヴァーンに緊張しながらその目を見る。
足を一歩差し出せば観念したかのシュヴァーンに思い出したかのように鍵をまた取り出し
「この鍵を本日お返しするつもりでいました」
手の平に載せて差し出された鍵に視線を落とした後シュヴァーンを見て
「そんな風に期待されると返せなくなります」
鍵を握りなおす。
目の前の彼は何処か情けないような、レイヴンさんの時に良く見せるような顔になり
「では、あの庭で待っていなくてはな」
静かな笑みを浮かべるシュヴァーンに思わずと言うように足が一歩前へ出た。
もう止まる事はできないと言うように両手がシュヴァーンを包み込む。
ピクリと反射的に震えた体を抱きしめながら、自然な流れのように唇を重ねた。
ほんの一瞬触れるような、まるで続きを窺うかのようなそんなふれあいの後「愛してます」とやっと届くような言葉で囁けば、それに答えるかのように薄く開かれた唇が小さく笑う。
酷い罠にはまったな。
苦笑さえ零しながらも、僕の指先はその頬を、唇を辿れば擽ったそうに身を捩る。
そしてそれが自然な流れと言うようにまた口付けを交わせば今まで求めるだけだった物に初めて求められれば、泣きたくなる位の幸せを覚えた。
やがてゆっくりと名残惜しく思うも唇が離れれば、恥かしそうに下がる頭を抱きしめずには居られない。
居心地が良い様に納まりが良い様にと首筋に頭を押し付ける仕種にくすぐったくも幸せを味わいながらもう一度囁く。
「愛してます」
囁けば、呼吸を一つ置いて「うん」と小さく返された言葉に力強くその体を抱きしめた。

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