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なんか少女漫画ちっくな物を目指し始めました?
キュートなお話を目指してみたのになんだか昼メロちっくです。
少女漫画じゃないじゃんw
カテゴリもユリレイに投入してますがフレレイ要素コユイです。
おかしいなあ。
普通にユリレイのラブラブな話しを書こうとしただけなのに・・・
どうも私にはキュートもラブラブも無縁な物らしいです。
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おかしいなあ。
普通にユリレイのラブラブな話しを書こうとしただけなのに・・・
どうも私にはキュートもラブラブも無縁な物らしいです。
レイン・レイン01
とにかくシュヴァーン隊長は素晴らしい人なんだ。
フレンが長い遠征から戻ったその夜、俺の部屋で旅の話しを酒のつまみに話しを始めた。
短い間だったけど外の世界をちらりと見た程度の俺とは違い、見たことのない風景をこと細かく説明しては見知らぬ世界に心をかき立てていた。
結界魔道器に囲まれた生活は安全が保障されていても魔物より恐ろしい人間を相手に育ててくれた下町を捨ててまで飛び出すことは出来ず、見果てぬ世界への渇望は膨れ、足枷とは思った事は一度もないがこの狭いザーフィアスに息苦しさを覚えていたのは確かだ。
フレンが話す世界を新鮮な空気の如く吸い込み、羨望と嫉妬を混ぜて話しを聞いていればザーフィアスへの帰路の途中、ザーフィアスから程遠くない結界の外での他の部隊の演習を見る事が出来たという。
遠くから挨拶をしてまっすぐ帰る事も出来たのだが、そこに見えた鮮やかな隊服に足を止めその元へと駆けつけたあたりやっぱりクソ真面目なやつと心の中で小さく笑った。
フレンが小隊長を務める隊は新設されたばかりの平民の若手を中心にかき集められた若々しい部隊だ。
それだけでも変則的なのに、なんと隊長が居ない。
もちろん不便も多く、貴族からはわざと連絡をもらえなかったりとやっかみも多い。隊長も居ない、ましてや30人弱の小隊だけの集団に不備が多かろうと一人の隊長がフレン小隊を独立小隊とした上で引き受けてくれた人が居た。
それが隊長主席のシュヴァーン・オルトレインだ。
尤もその隊長主席殿は忙しく城内でさえ滅多にお目にかからない存在だが、彼のその一言がシュヴァーン隊の面々に面倒を見てもらう結果となっていた。
その鮮やかな夕日にもにた橙の隊服の面々が、唯一の隊長服に身を纏う男の指揮下で演習をしている。
邪魔にはなかろうが、それでもこのまま遠くから挨拶をして通り過す事なんて出来るはずも無く、長旅に疲れた小隊に帰郷の挨拶をしようと提案すれば、恩ある方に挨拶なしに通り過ぎる事は出来ないと少し遠回りになるも挨拶に伺った。
まだ遠くからとは言え、フレン隊の存在に気付いたシュヴァーン隊は僕達が合流する頃を見計らって集合をかけてくれた。
シュヴァーン隊の方々は訓練の跡の残る出で立ちで、だがシュヴァーン隊長の号令どうり一寸の狂いもなく並び、僕達が挨拶に伺うのを待ってくれていた。
「ご苦労、このたびの遠征はどうだった?」
何もない平原にどこまでも通る声に長旅の疲れも吹っ飛び、敬礼と共に労ってくれるかの隊長を見る。
「とても勉強になる事ばかりで、有意義に過す事が出来ました」
初めて訪れる街、初めての風景、初めて尽くしの旅とザーフィアスとは違う独特の文化。
今回の任務は各町を訪れて問題は無いか窺うだけの任務に最初はその意図を見出せずにいたが、街から街への移動の合い間の出来事や、やっと辿り着いた街の異文化に驚きの連続で与えられた任務を忠実にこなすのが精一杯だった。
そんな興奮を織り交ぜて訪れた街の素晴らしさを報告すれば、どちらかと言うと表情に乏しいと揶揄されるシュヴァーン隊長が控えめだが何処か満足そうに目を細め笑みを浮かべていたのだ。
さすがにと言うかフレン隊はもちろん、シュヴァーン隊の面々もその笑みには言葉を失い、何も知らない本人のみが疑問を浮かべていた。
それから訓練がまだ途中だが切り上げ、ザーフィアスまで残り少ない道程を共に同行する事となった。
魔物に出くわす事はなく、シュヴァーン隊長の剣技を拝見する機会はなかったが、それでも城までの短い道程は長旅の報告と言うよりも感想を伝えるには十分な時間があり、シュヴァーン隊長のかつての感想と織り交ぜ、訪れた街の歴史と言うには短いが変化を知る事が出来た。
その後、一応上司に当たる事もあり、報告書をまとめてシュヴァーン隊長の部屋に窺う事になり
「鎧を外した隊服の姿なんて滅多に見ることは無いけど、僕よりも小さな背で、体も細く見えるんだけどね。丁度隊長服を室内用に着替えている所で、シャツを着てるだけと言うのに華奢な印象はまったくなかったんだ。
それ所かシャツ越しに筋肉の動きが見えてね、僕みたいにただ体を鍛えてしまったって言う感じとは別次元だったね」
「おいおい、お前何処見てんだよ」
「へ?」
「おっさんの体に欲情してんじゃねえっ言ってんの」
シュヴァーン隊長は素晴らしいと始まった話は確かにその人物をうかがい知る事の出来る話から人の良さ、人格者と行った具合に話が進み、最後は色目と変わっていた。
そう言うんじゃない、失礼だなあ。とは言うものの、指摘されて初めて気付いたというように頬を赤らめポーカフェイスを決めるも、今更では決まる物も決まらない。
まあいいけど。
「にしてもだ。お前みたいな奴が何でそんなおっさんにはまるかなあ」
「おっさんって失礼だよユーリ」
と窘められるも残念ながらそれを否定できる材料もなく、噂で聞いた齢35と言う数字しか比べる物がない。
大体14も年が離れ、親子と言うには近すぎるし、兄と呼ぶには遠すぎる微妙な年の差に思わず唸る。
まあ、幼な妻を狙う変態ならアリかもしれないが・・・と、考えた所で麦酒を一口なめた所でちらりと赤い顔をして憤慨するフレンを泡越しに窺う。
塩の結晶の浮ぶ炒めたナッツを口へと運んでは同じように麦酒を傾けるこの男はたぶん、と言うか確実にそのシュヴァーンへと傾倒している。
シュヴァーン隊の奴らのように傾倒ならいい。本人は自覚がないようだが確実に恋心を孕んでいる。
酔った勢いもあってか口の端に残る泡を指先で拭い、例えばさと置いて口の端を吊り上げる。
「もしそのシュヴァーン隊長と二人きりで、そんな状況になったらどうする」
ふへ?と一瞬キョトンとしたかと思えばみるまに顔が真っ赤に染まっていく様をくつくつと喉を鳴らして笑えばからかわれたかと気付いたフレンはこのやろうと胸倉を掴みかかって来た所でその勢いに押されてベットへと倒れこんだ。
「そう、こんな感じにさ」
そこで漸く冷静になったと言わんばかりにフレンの目が見開いていく。
何も仲睦まじくな関係でなくてもこんな風に間違いからだって押し倒す事は出来る。
そういってやれば彷徨う視線のフレンはすごすごと床に崩れ落ち
「ユーリじゃそんな気分にもならないって」
「お前今さらりと失礼なこと言うのな」
「本当の事を言って悪かったな」
「まあまあ、怒らせた詫びに万が一に事に発展したら応援してやるぜ」
はははと笑ってやれば少し落ち着いたのかどこかはにかんだ笑みを向けられた。
そんな笑みを見たのはいつ以来かと考えながらあの長い旅が始まり、そして旅の終わりを迎えた。
フレンが焦がれ抱いた恋心の思わぬ正体に驚いたのは当の本人限りでは無い。
俺達を始め、真名と偽名のそれぞれで驚かれ、そして盛大に呆れさせた。
どうしてそうなったのかを教えられてもエステルのようにレイヴンは器用ですのねと誉める事は出来ず俺はもやもやとしていた。
その理由は簡単。
かつてフレンをからかった状況に俺は落ちていたのだから。
レイヴンと付き合う分には楽しく頼もしく、気がつけば離れがたいそんな逢瀬。
それで居てフレンが向けるシュヴァーンへの色々な想いを逃げる事無く一心に受け止めてコツコツと育む何かに嫉妬して。
進む二人の関係と反比例して細々と辛うじて繋がる縁になった関係に溜息を零す始末。
おじさまに逢いたいのなら逢いに行けばいいじゃない。あなたらしくないわと言う肉食系の乙女心には間違ってもこの繊細な男心はわかってもらえず溜息を零し、そんなの当たって砕けろって言うのよと言い切った天才肌には思わず砕けたら意味ないんじゃねえ?と反論してしまう始末に一同沈黙。
自分の恋愛に精一杯の先生は可愛らしくも何かプレゼントとかは?と懸命にアドバイスをくれるも、おっさんがプレゼントごときで陥落できるとはとてもじゃないけど思えない。
夢見る少女的にはムードあるお店でお食事からなんてどうです?と言うが、そんな手はきっとあの鬼畜白髪がここぞとばかり金とコネを使って垂らし込んだ後だ。物珍しさどころか嫌な思い出話を聞くだけだからと却下。
じゃあうちとユーリでラブラブな所を見せつけておっさんに嫉妬させるって言う手はどうじゃのと無邪気な提案にはまだその前の段階ですと丁寧にお断りをする。
意外に手強くねえか?と考えつつも、いつの間にか周囲には筒抜けの恋愛感情に頼むからこの件に付いては黙っててくれと土下座してお願いをした。
まあ、あれだ。
まずは会わないと話にならんと今は確かザーフィアスに居るはずだとフレンに挨拶をしがてら様子を見に行くかと何時ものとおりフレンの新しい部屋へと窓から乗り込む事にした。
またこんな所から。
溜息交じりの呆れた声を思い出しながらもよいしょと窓をのぞき込めば人影が見えた。
あの猫目のねーちゃんだったらうるさいなと頭を引っ込めてそっとのぞき込めばそこにいたのはフレンとおっさん。
珍しく隊長主席の格好に緊張しているフレンを見て相変らずだなと苦笑。
他には居ないなと今更ながらの間柄にノックを簡略してお邪魔しましょうかと思えば二人向かい合っていた立ち位置が1歩よりあう。
ふわりと揺れたマントにフレンが近付いたと思った瞬間伸ばされた手が目の前に居た人物を包み込み、そして少し離れたかと思えばもう一度二人の影が重なり合った。
ゆっくりと壊れないようにそっと包み込む指先に誘われるがままにまた深く重なり合う。
呆然とその光景を見つめていれば照れた顔の二人が離れもう一度。そのまま抱きしめられた顔が窓の外にいた俺と目があって驚きに見開かれたのをフレンは知らない。
困惑と、何所か悲しげなものに変わっていったものから目を反らし、静かにその場を離れた。
考えてみりゃ勝手だよなと一人声もなく笑う。
随分と長い事音沙汰もなく離れていた間の変化さえ気付かず、自分の想いだけを一人温めていればこんな事になるんだと、一人とり残された思いと静かに降り出した雨に何かが溢れ出した。
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