忍者ブログ
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
http://altoxxx.blog.shinobi.jp/
空に向かって手を上げて
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

フレレイ要素のコユイユリレイです。
自動投下でお送りしています。
2話目が投下される頃は人生の夏休みに出かけているので、携帯からの確認しか出来ませんが・・・
無事投下してくれますように!



レイン・レイン 02



嘘をつくのはもう嫌だ。
そう叫んだのはシュヴァーンかレイヴンか。
どちらも同じ人物なのだからどちらの思いであって、どちらの叫びである。
嘘に嘘を重ねる事に慣れてしまった二人の懊悩は他者が量り知る事はできない。
そして真実を告げる事がこれほど苦しい事を知り、真実を告げる勇気もない己に愕然とした。
一方は酒の力でも借りて勢いにのって告げればいいと言い、一方は正面からただ想いだけ伝えればよいと言う。
どちらにしても言葉にする事ができない時点でその作戦すら失敗に終わるのだが、それよりも非常によろしくない事態に陥っていた。
世界の終わりか崩壊か。そんな終焉一歩手前の世界の中で共に戦い生き抜いたかの人ともうどれだけあってないだろうその事実。
遠くから見る事はあっても話す事はなく、噂で聞く事はあっても一定の場所にいない彼に届ける言葉は溜息とともに消える。
そんな日々をどれだけくり返し、当ての無い思いをどれだけ積み重ねれば済むのかと瞼を閉じれば

「おかげんでもよろしくないのですか?」

声をかけられて目を開けば眩い海の色がそこに広がっていた。
「おわっ?!」
「大丈夫ですか!」
あまりの想定外の視界に驚いて目の前の人物を漸く捕らえた。
「フレンか」
「おじゃまでしたか?」
「いや」
思わず逸る胸に手をあて落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
心配気に顔を覗き込まれて思い出した。
シュヴァーン隊の隊舎の裏側に在る四方を高い壁に囲まれた小さな庭で考え事をしていたのだ。
僅かに差し込む陽光もいつの間にか成長して庭を覆うように成長した木々の隙間から零れ落ちた陽だまりで昼寝をするのがささやかな楽しみだった。
いつ作られたか判らない庭だが季節ごとに小さな花を咲かせる幾種もの低木が一年中花を絶やさないように植えられていて、華やかさは無いが、いつ来ても何か咲いているこの庭を気にいっていた。
煉瓦で舗装をし、最初は花壇だっただろう場所は主役は退場し成長した木がせしめている。
花は嫌いでは無いが、面倒をみをみきれないので正直ありがたかったが、木々の世話を好む隊員に言わせるともっと枝を切り詰めた方が木の為に成ると言う。
そんなこと言われてもどの枝を落とせばいいかなんて判らないからとりあえずこの庭をいじらない事を条件にその隊員にこの庭の面倒を任せれば、季節を一つ巡る頃には狭く鬱蒼とした庭が明るく風と光の踊る心地良い庭に変わり、いい仕事をして見せた隊員は誇らしげに胸をはった。
その時に元々あつらえられていたベンチを発掘までしてくれた。
落ち葉が積り風の吹き溜まりになっていたことからわからなかったけど、と言って案内されたのは入り口から奥まった場所にある二本の巨木の合い間。二つの花壇の合い間に何も植わっていない、見たとおりの台があった。
なんだ?と思うも、その背後の壁に幾種もの大小さまざまな煉瓦が貼り付けられ、まるでタイルのようなモザイク模様がそこに施されていた。
ここはきっとベンチだったのでしょう。
言われて納得と言うように座れば、確かに高さ的にも問題ない。
だが、奥行きがありすぎて壁にもたれるにも少々不都合では?と思いながらもゴロンと横になれば丁度良い収まり。
「おやおや?」
これは丁度いいと自分の腕を枕に頭を乗せればなんとも言いがたき心地良さ。
「発掘しない方がよろしかったですかねぇ?」
「埋もれて忘れ去られるよりかはいいさ」
言って瞼を閉じた日以来密かなお気に入りの場所となった。
尤もシュヴァーン隊にはバレバレで、これが他の隊の耳に入らないように注意する事が最優先だった。
その努力が報われてかシュヴァーンが隊長を努めて以来10年。この秘密の裏庭はシュヴァーン隊のみの秘密だったために、目の前に立つ人物の意外性に驚きは隠せれなかった。
考えてみればアレクセイがシュヴァーン隊の隊舎に自ら足を運んだ事はなかったなと考えれば、現団長自らお出迎えに来たとならこの場所は秘密では居られない。
「所で、どうしてここに?」
秘密ではなくなってしまったこの庭から空を眺めるも青々と生い茂ったみどりが視界を隠している。
何処でばれたかと思えば
「あの、シュヴァーン隊長のお部屋で待たせていただいていたのですが窓からこちらにお姿が見えまして・・・」
申し訳なさそうに顔を赤らめて瞳を閉じるも、考えてみればこの庭はシュヴァーンの執務室の背後を彩る風景だ。
一見木々で隠れているように見えても、身を乗り出せばこの位置は嫌でも見える。
他の隊舎からは見えなくても自分の執務室からは丸見えとは灯台下暗しと言うのだろうか。なんとも間抜けな話だった。
体を起して席の半分を勧める。
同じように座ったフレンは、やはり背が高いせいか、背後のモザイクの壁に背中をもたれさせて狭い箱庭の空を見上げる。
「城にこんな場所があったのですね」
さわさわと突然の訪問者に風が悪戯するように柔らかな金の毛先で戯れ、くすぐったそうに穏やかな笑みを浮かべる。
「俺がこの隊舎を貰った頃はすごかったが、隊員に木の世話好きな奴がいてね。おかげで心地いい場所にしてもらっている」
庭の掃除も、季節の手入れもその隊員が今も世話を見てくれている。
留守がちな隊長なのに悪いなと思うも、居ない時は居ない時で同じ世話好きが集って一緒に面倒見てるから気にしないで下さい。と言ったが、そんなグループが出来ていたとはついぞ気付かなかった。
「お邪魔しないほうが良かったですね」
気遣いの出来る若者だけに遠慮している事に思わず笑みがこぼれてしまう。
騎士団の主の言う言葉では無いと思うも、もう俺だけの場所では無いのだ。
「そんな事無い。サボりたくなったら誰にも見つからないように来るといい」
「そして先にシュヴァーン隊長がここでお休みになられているのですね」
思わぬ反撃にパチクリと瞬きをし俯き加減で噴出しそうな笑みをこらえるもくくくと鳴る喉に頭上からシュヴァーン隊長と情けない声が振ってきて更に笑みがこぼれた。

たぶんそれがきっかけだった。
ダングレストからザーフィアスに到着する時は大概夜中か早朝と言うにも早い時間か。
夜の城の廊下を歩けば夜間警護の騎士に見つかり、時間を忘れて帰郷に喜ぶ隊員に頭を痛め、他隊から騒がしいと苦情を言われるのが悩みの種だった。
なので城門をくぐった後は城に真っ直ぐ入らず通用路から少し遠回りをしてシュヴァーン隊隊舎へと向う。後は伸びに伸びた木の枝を伝って裏庭へと到着し、そのまま窓から室内に忍び込む時もあれば、あのベンチに横たわって眠る日もあった。
今回も無事自分の隊舎に進入と言う事を成し遂げ、夏のうだるような暑さを忘れる真夜中の時間にこのまま涼しげに通る風の中で寝るのも悪くないなと思ってベンチへと向えば、既に先客がそこに居た。
既に火の消えた小さなランプと、読みかけのまま開いた本を抱え、一人の若者が寝ていた。
月明りの下で見るその髪は昼間の陽の光の下で輝くキラキラとした眩さはなりを潜め、今は冴え冴えとした月明りに照らされ夜の海を写す、そんな輝きだった。
いくらこの季節だから風邪はひかないだろうと言っても、さすがに団長に城内で野宿させるわけにはいかない。かと言っても、自分より長身の男を起さずに部屋に連れて行く事は出来ず困っていれば、仕方なく自室からシーツを取ってきた。
いくら夏だからと言っても朝方になればさすがに冷えるだろう。団長閣下に風邪をひかれては大変だとそっとかければそこで突然パチリと目が開いた。
何を見て驚いたのか、想像は出来るが、こんないい男でも瞳がこぼれん落ちんばかりに驚く事もあるのねと思えば、転寝を見つかったからか一瞬で顔が赤くなっていくのを何処か懐かしげに見る。
「あ・・・あの、お帰りなさい。シュヴァーン隊長」
顔所か首も、耳まで真っ赤に染まっていくのをどれぐらいぶりかと考える。
昔は顔をあわせては真っ赤に顔を染めて今みたいに上擦った声でシュヴァーン隊長とその名を呼んだほんの少し昔と重なる。
「はい、ただいま。悪いね、起しちゃったみたいで」
城内に入るに当たってつい先ほどまで来ていたレイヴンの服を脱いだばかりだったが、シュヴァーンを崇拝する彼には少々刺激が強すぎたかと、漸く最近ではこう言う事はなくなったのにと失笑。
騎士の模範と言うような団長は疲れて眠ってしまっただろうに、疲れさえ見せないと言うように体を起して起立する。
「他に誰も居ないんだから」
言ってベンチに座り、その手を引っ張って強引に隣に座らせる。
あわわと小さな悲鳴と共に強引に隣に座らされた若き団長は緊張が解けないと言う姿で居心地悪そうにちょこんと座る。
「相変らずシュヴァーンの前ではかっちかちねぇ」
可哀相に幻想の騎士像に憧れてしまっていたフレンに思わず同情の眼差し。
「レイヴンさんだとわかっては居るのですが・・・」
相変らず緊張してか頬まで赤くして、折角見目麗しい騎士団長様だと言うのに残念だと思ってもしかたがないだろう。
くつくつと笑いながら
「これだとおっさんフレンとデートしてるみたいな気分だけど」
人目のつかない所で二人ベンチに座って語らって。
条件としては満たしてるなと思えば隣から「え?」と何処か震える声が聞えた。
思わず固まっているだろう姿を想像してフレンを見るも思わず逃げ腰で仰け反ってしまった。
「ちょっと、どうしたのフレン君?!」
これ以上とないくらい真っ赤になった顔で目が回っている状態に大丈夫と手を目の前で翳せば暫くして小声ですみませんと小さな声で謝罪が聞えた。
余計気まずいんですけど・・・
これを反省にあまりこの手の話題でからかうのは止めようと反省をし
「そろそろ部屋で何かお茶でも飲まない?おっさんずっと移動だったから喉乾いちゃった」
「あ、はい。では僕が・・・」
「団長はお疲れなんだから、おっさんに任せて」
このまま倒れるわけには行かないとその好意を何とか辞退した。
フレンと嬢ちゃんに美味しいお茶のお土産が有るのよ。楽しみにしててと言ってフレンを室内に招き入れ、それから城が動き出すまで二人で留守の間の話しを聞きながらお茶を楽しんだ。

拍手[9回]

PR
"椎名" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.