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季節外れの小ネタです。
つか、久しぶりなのにこんなあいさつでいいのか?!
A.いいえ、よくありません。

気にせずに行きましょ・・・







旅の間カロルに話しを聞かせていたエステルの物語を思い出した。
物語の中では聖誕祭と言う日には家族で食卓を囲んだりプレゼントを交換するという不思議な習慣があった。
側耳を立てて話しを聞いていたのは俺だけでなく、家族とはあまり縁のないリタや、遠い日を大切にしているジュディスやフレンもその優しげな口調に耳を傾けていた。
ほんのり温かく、何処か遠い物語に憧れを抱いたのは、たぶんみんな同じだろう。
だがそれを口に出来るほど勇気はなく、物語を最初から耳にしなかったおっさんだけが静かに寝息を零していた。

物語の日は既に日付を回ってしまい、元々そんな風習もない下町では煌びやかな装飾さえ何所にもない。
ひょっとしたらエステルの話しを思い出した誰かが集ろうかとかを期待したわけじゃない。
お祭り好きな奴らだったから少し期待しただけで、久振りにみんなの顔を見たいとか、そう。少し期待しただけ。
それに・・・もう過ぎた日の話だと一人下宿先のベットで寝転んでいれば

「青年居る?」

言ってドアをノックする前に入って来たのは目にも毒々しい紫の羽織。

「おっさんこっちに戻って来てたのな」
「そうよー。いつの代でも団長は人使い荒いって決まってるからね。おっさんオルニオンまでお使いに走ってたのよ」

いつも年寄りだとか言う割にはフットワークは軽く、やっと休みがもらえたというおっさんは何処か陽気だった。

「で?今日は何のようだよ」
「青年はおっさんに用がないと来ちゃダメなのー?」

少し拗ねた口調に、拗ねていたのは俺のほうだと単なる奴当たりだと少しだけ自己嫌悪。

「いや、単に珍しいなって思ってな」

ごまかし紛れに軽口で返せばおっさんはなにやら持っていた袋の中身を小さなテーブルの上に広げる。

「たまには一緒に飯でも食べようかと思ってね」

言うも出した物は酒瓶で思わず苦笑。

「ま、たまにじゃなくても別に良いんだけどね」

次々と出て来る料理と最後に出てきたのは小さな箱。

「青年お洒落さんだから」

差し出されて思わず無防備にも出してしまった手の平に置かれたリボンのついた箱の意味を理解する間おっさんは恥かしそうに一人食卓の準備をしていた。



+++

回りに回って最後がユーリ。遅刻したおっさんでした。

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