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今ひとつ愛が足りませんが大切に思われているとは思います。
シュヴァーンは何所でもシュヴァーンで、シュヴァーンでレイヴンになる時は物凄く限定的だと可愛いと思います。
それだけ心を許してるのよ的な。
おっさんの愛情表現(?)は難しいと思います。







ある日、シュヴァーンをダングレストで見かけた。
シュヴァーン隊が一個小隊をつれて仰々しく入り口の橋の手前で隊列を作っている。
星喰みの件が終わりダングレストで騎士団を目撃する回数も珍しい事ではなくなっていたが、それでもやはりこの街では奇特な出来事らしい。
橋を挟んだ街の入り口では如何にも戦う気満々のギルドの連中が睨み付けていたが、シュヴァーン隊の連中はただ大人しく直立不動で街の方へと視線を向けていた。
何事かと思うも人垣を作っていた中央が割れて現れたのは天を射る矢のハリーと、オレンジ色の隊服のシュヴァーン。
ハリーに案内されるように後ろについて歩いていたが、歩き方、姿勢共にこの町で見かけるもう1つの姿とどれも当てはまらない。
そのせいか、前を歩いていたハリーも、まったく知らないわけでは無いだろうに何処か居心地悪く引き攣ってるようにも見えた。
その気持ち判るなあと、今では慣れた為に鈍くなった違和感を思い出しながら二人は橋の中央で足を止めて向かい合う。
何か話しをしてシュヴァーンは丁寧に騎士の敬礼を以って挨拶を送り、ハリーは一瞬気後れてから、何時ものように背中を向けてから手を振っていた。
ハリーの護衛にも付いている天を射る矢の幹部がそんな野次馬を蹴散らし、シュヴァーンも橋の手前で待機させていた一個小隊を連れて行こうとしていた。
そこに慌てて駆け寄り、
「よお、あんたも随分危険な橋を渡るな」
ニヤニヤと近付けば、ギルド相手に何の感情を持たなかった騎士団は俺の顔を見て口々に俺のフルネームを呼ぶ。
なんだこの差は、と思っていればシュヴァーンは苦笑しながら
「まあ、これも仕事だ。一応わけを知ってる奴が手筈整えてくれているから安心してこの格好で乗り込めるのだがな」
わけしりといえばユニオン幹部とか天を射る矢の幹部とか。
幹部をパシリに使うなよと思うもどの道おっさんの部下だなと思えば、おっさんの部下は大変だなと、目の前に並ぶ騎士団を同じような哀れみの目で見てしまう。
「どっちにしてもだ、相変らず仕事中心だなあんたは」
城では書類仕事にフレンの手伝い。部下の教育に貴族の相手。
外に出たら出たで団体ご一行の引率を隣の大陸までご案内。
仕事のしすぎじゃないかと思うも
「最近はこれでもそれなりに楽しんでるだが?」
茶目っ気たっぷりに笑う言葉にほんとかよと苦笑し
「青年たちに比べたら騎士団の仕事って楽なのよ」
「こき使って悪うございました」
笑いながらの嫌味の応酬。
「ま、たまには城以外で会うのもいいな」
「何でだ?」
「そうだな・・・」
いいなと言っておきながら理由なんてない。
ただ漠然とそう思っただけであって、深い意味は無い。
少し考え込んだ俺をシュヴァーンは静かに俺の顔を見ながら答えを待っている。
その静かな視線に気がついて少しなんとも言えないてれを感じながら
「強いて言えばだ。
 あんたはあの重っ苦しい城の中より、こう言うだだっ広い所が似合ってる」
そんな感じがするといえば少しだけ嬉しそうに口角を上げる。
「まあ、森林浴とか嫌いじゃないが」
「あんたそのまま仕事放り出して逃亡しそうだな」
「一緒に逃げてくれる?」
シュヴァーンの姿なのにレイヴンの口調でお願いされてしまったからつい
「仕方ねーおっさんだな・・・って、
 いや、さすがに騎士団敵に回したくねえ」
いつの間にかおっさんの背後に並んでいたシュヴァーン隊の視線が俺を突き刺していた。
思わず引き攣った俺の顔を見て背後の気配を察したおっさんもさすがに顔を引き攣らせながらコホンと一つ咳をする。
レイヴンとしての一面を知ってる為に、その何所にあるのか謎に満ちた威厳ある声が高らかに宣言する。
「これよりザーフィアスに帰還する。全軍進め!」
右側だけが長い変則的なマントを靡かせて指揮をすれば、さっきまで何か言いたげなシュヴァーン隊の目付きはとたんに変わる。
ザッ、ザッ、と足並みをそろえて進む姿を見送りながら
「では、私も行くとするか」
「気をつけろな」
「青年もだ」
最後にニッと笑って振り向いて去って行った姿を見送り、俺もダングレストの町へと向かった。
今は崩れ去った人垣の遥か奥の宿で待ち合わせていたカロルに今シュヴァーンのおっさんにあったと伝えれば、前よりマシになったとは言え相変らずのギルドと騎士団の関係に心配してうろうろとしていたが、暫くしてやってきたハリーの何処か頭痛そうな顔におっさん愛されてるなと一人ごちてみた。

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