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オリジナルキャラ発生警報。
今回もシュヴァーンです。
シュヴァーンの話しを考える時はなるべく紳士を目指してますが、紳士って一体どんなイキモノでしょうね。
そんな珍獣(?)を目指していつも妄想してます。
今回もシュヴァーンです。
シュヴァーンの話しを考える時はなるべく紳士を目指してますが、紳士って一体どんなイキモノでしょうね。
そんな珍獣(?)を目指していつも妄想してます。
思わぬ光景にめぐり合った。
珍しい事にフレンから呼び出しがあって、待ち合わせのザーフィアス城内の彼の部屋へと向う途中だった。
ただでさえでかい城なのに、団長の執務室は随分と奥まった所にあり、階段を上ったり長い廊下を歩いたりと道程は単純じゃない。
それでもエステルに呼ばれたり、おっさんに会いに行ったりと出入りするうちに慣れはしたものの、それでも遠い事には代りが無いが。
距離的にはあまり変りが無いからと何時もと違う訓練所の横を通るコースで堂々と城内を歩いていれば、この時間は空き時間なのか誰も訓練場にはいなかった。
いや、居る事には居たのだが、少人数の騎士が訓練場の一角でなにやら話しをしているようだった。
生垣のせいで姿までははっきりと判りはしなかったが、一人は隊長クラスだろうか。
フレンともシュヴァーンとも違う基調の隊服はあまりお目にかかった事は無い為に何所の何方かは判らない。
が、その独自性から隊長クラスと想定は出来る。
若い男だ。
若いと言っても俺やフレンからはどう見ても上だし、シュヴァーンまでは年を重ねてないだろう。
中間、よりやや上と言ったところだろうか。
それでも眩い金の髪と、消して細くは無いだろうが長身の為にそう思わせるスラリとした体格の男だ。
足を進める内にもう一人の男も確認が出来た。
それは見慣れた橙色の独自性のある隊服の男だった。
なにやらあまりに親しげに話しをしているのを不思議な感覚で眺めていた。
シュヴァーンの交友関係といえばたいがいが上司と部下の関係で、あのように親しげな友人と話している姿はあまりお目にかかった事は無い。
それ所か、楽しげに笑う顔を・・・思い出せなかった。
興味深い。
ただ単純にそんな風に思って足音どころか気配を消して近づく。
と言うより、二人のそばを通らなければ次の曲がり角までたどり着けないのだ。
息を殺してだんだん近付いてくる声さえ無意識に拾う。
さすがに会話の途中のために内容はわからなかったが、楽しげな話は間違いないようだった。
わき腹を手で押さえ、やや俯き加減に笑を耐え忍ぶシュヴァーンなんて想像も付かない。
それ所か何が彼をそこまで笑わせたのかしらないが、目の前の男の肩を借りてまで笑いに耐える姿なんて想像出来るだろうか。
レイヴンなら豪快に笑い上げて、耐え切れないとなれば地面さえ転げまわる姿さえ想像できるのに、シュヴァーンのそんな姿に何かがチクリと痛みを訴える。
カツカツカツ・・・
気が付けば高らかにかかとの音を響かせ石畳の廊下を歩いていた。
さすがと言うか二人とも俺の気配に気が付いたようでそれきり笑い声は聞えなくなった。
なんだかすごい邪魔をしたなと感じながらも
「よお、おっさん。珍しい所で会うな」
「珍しいも何も、一応ここもザーフィアス城の一角だ。青年が居る方が珍しいのでは?」
涼やかな笑みをたたえた顔が俺を見るも、とたんにぎゅっと瞑る。
「どうしたんだ?」
「いや、目にゴミが・・・」
と言った所で反射的に手で擦ろうとした所を横から「失礼します」と断わって、もう一人の男がおっさんの顔に片手を添えた。
あまりの突然の事で俺所かおっさんまで完全に不意打ちをくらい、俺よりも背の高い男はおっさんの目を覗きこみながらゴミの確認をし、目じりに溜まった涙を拭っていた。
「もう大丈夫です」
落ち着いた穏やかな声に「すまないな」とだけ返すも不思議と優しかった表情を見て再び何かがつきんと訴えた。
「ひょっとして彼は・・・」
「ああ、団長の親友で、先の戦いの功労者だ」
「あの凛々の明星の」
「ヴィルジール隊隊長のヴィルジール・アイセラだ。
彼が前に話した凛々の明星のユーリ・ローウェル。エステリーゼ様のご友人でも在るから城内で見かけたら声をかけてもらえると助かる」
「初めましてヴィルジールです。一度星喰みの英雄とお会いできればと思っておりました」
「そりゃどーも」
おっさんの紹介の為にヴィルジールなんて長い名前の男と挨拶をする羽目になったが、このやけに長ったらしい挨拶はひょっとして貴族か?と思えば
「では、私はこれで。シュヴァーン隊長もまた今度食事でもご一緒下さい」
「ああ、時間があったらなヴィル」
丁寧に頭を下げた男とはよほど親しいのか名前を略して、愛称で呼んだ。
こう言うときあだ名がつけられる長い名前が少し羨ましいと思う。
親しい相手だけに呼んで貰える特別な何かのような気がして、略しようの無い名前が気に入らないわけでは無いが、まともに名前すら呼んで貰えないだけに羨ましく思う。
「随分と仲がいいんだな」
何処か硬質な声になってしまったが、おっさんは気にせず微かな笑みを浮かべながら
「俺がまだ小隊長の頃の部下だった奴でな、10年前以前の貴重な友人・・・かな?」
何処かいとおしげに彼をそう分類する。
「ふーん。ま、向うは下心ありそうだけどな」
「おや?青年は今日は虫の居所が悪そうだな」
一体誰のせいだよとは言わず、
「フレンに呼び出されてるんだ。団長室まで来いって、きっとめんどくさい話なんだぜ」
話しを強引にまげてじゃあなと挨拶を一方的に叩きつけた。
おっさんが何も悪いわけでは無いのに酷いやつあたりだと反省をしながら
「よおフレン。今日は何のようだ?」
「何のようだって、どうしたんだユーリ。一体何があったのさ?」
重厚なドアの向うで待っていた幼なじみの顔を曇らせ、説明の仕方が判らない苛立ちにただただ困らせるだけの俺は酷く子供っぽく思えた。
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