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4月1日に一日限定でアップしていたフレレイ(だと思う)を再アップしました。
あと結局間に合わなかった一つを追加しました。
やっと陽の目見たよ。
限定作品の方はタイトル一覧からお探し下さい。

オリジナルキャラ・シュバーンと愉快な同僚達発生注意報!<なんじゃそりゃ・・・
オリジナル苦手な方は逃げて!!








結界魔道器の無くなった何処までも爽やかな青空とぽこぽこと浮ぶ羊雲がのんびりと通り過ぎるのを噴水を中心に広がる庭園のベンチに寝転び見上げていた。
周囲を見回せば同期の顔や、上官を通して知り合った仲間、かつての部下、競い合った友とおなじみの顔が並んでいた。
みんな思い思いの場所で本を読んだり昼寝をしたり、他愛もない話しを無責任に楽しんだり。
それは酷く穏やかな時間だった。
それが一変したのはやはりこの庭を眺めるように作られた通路に見知った顔が歩いていたからだろう。
その姿を見れば、話しをしてた奴は止め、本を読んで居た目は視線を文字から切り離す。寝ていただろう瞳はタヌキ寝入りだったのかとたんに体を起し、早速と声をかけていた。
「主席!」
貴族でありながら貴族の気取った生活を嫌う風変わりなグレース隊長は手を振りながら6つほど年上の男に向って無邪気に手を振りながら呼び止めた。
足を止めておや?と、たぶんこの面子の中で一番小柄で華奢な男は物騒にも左手を短剣にかけながら左半分を隠すような長い前髪をなびかせて振り向いた。
そのまま噴水周辺を陣取っていた我々の方まで足を運び
「おやおや、これはフレン団長をイジメ隊の皆さんおそろいで」
意地の悪い笑みを浮かべながら俺達の顔を見回しそりゃないよと呼び寄せたグレースはがっくりと項垂れていた。
「主席はまだ根に持ってるのですか?」
グラナダがあの日の団長室での一件を思い出してふてくされば
「根に持つのはフレン団長だろ?私は君たちを反抗勢力の一枠として・・・」
「何言ってるんですか!我々はちゃんと陛下にも帝国にも騎士団にも忠誠を誓いまして・・・」
「団長への忠誠は単なるポーズだった」
「主席・・・」
あんまりだと涙さえ浮かべるのはこの中では最年少のノイエス。
そんな彼を見て主席は自分よりもはるかに背の高いノイエスの頭を撫でる。
「はーいはい、泣く位だったら下手な悪戯をしない。フレン団長は優しくて親切だけど、その周囲にはこわーいお兄さんが控えてるんだから」
「人魔戦争の英雄を倒したあげくあの星喰みだっけ?退治したギルドか」
へスターの説明にスルタンも唸る。
「ギルドがそんな強力な力を持っているとわな」
危険だと呟く言葉にゼゼットやカーネオルまで頷く。
「でも一番恐ろしいのはエステリーゼ様が彼らギルドの出張要員と言う事かな?」
「なんだそれは?」
ウェステリンの思わぬと言った驚きと疑問を混ぜた声にシュヴァーンは苦笑を隠せないで居るらしい。
「彼らの正規メンバーでは無いのだが要請があれば協力と言うか、エステリーゼ様自らついて行ってしまう。
 ユニオンの方でも副帝が散歩するようにダングレストをうろうろされるのも困る・・・と言うより取り扱いが難しいから何とかしてくれと、そうなったらしい」
やれやれと頭を振って見せるシュヴァーンに俺達だってどうした物かなんて知るわけない。
「そんなわけで、時々城でも見かけるかもしれないから見かけた時は・・・フレン団長の所に案内して」
「団長に?なんでだ?」
星喰みの一件でギルドと共に行動していたとは聞いていたが
「団長の幼なじみが例のギルドに居てね、城に来る時は必ず挨拶に行くはずだから変なトラブルが起きる前に、だ」
トラブルを引き込む体質が居るからとのクツクツと笑いながらの説明。
「主席もお気に入りなのですね、その団長の幼なじみは」
へスターの物腰柔らかそうな口調にまあなと口角を上げただけの返事にあからさまな顔でグレースがふんと鼻を鳴らした。
「いっその事騎士団に引き込むのはどうでしょう?」
「残念。もう出て言った後なのよ」
ゼゼットの提案を容赦なく叩き落し、再度引き込む気は無いらしい。
「さて、私はこれから団長に報告に行かなくてはならないからな」
失礼するよと歩き出して主席にそう言えばともう一度グレースが声をかけた。
なんだとふりむいた瞳に向って
「先日主席がお留守の時に城内警備に当たっていた我が隊の騎士がお姿をお見かけしたとか」
少し考え込むようにするも、思い当たる事でもあったのか少しだけ口を開いてああ、と相槌を打つ。
そんな主席にグレースは爆弾発言を落とした。
「何でも早朝にも早い時間に主席のお部屋から団長と二人で出てきたのを見かけたと」
なにー?!と叫ばなかったのは衝撃が多すぎてか、それとも単に年の功か。
主席に邪な想いのおまけ付きで憧れていたゼゼットなんて涙を滝のように流している。
「折角アレクセイがいなくなったというのに」
「年下だと思って甘く見ていたか」
呻くへスターとノイエスに当の本人は本能的に身の危険を感じてかジリジリと距離を開けながらグレースを睨みつけている。
「ただ私の部屋で資料を探していらしただけだ」
即行で訂正するも、真実は既に時の彼方。
第三者の公正な証言がなければこの噂は当分の間尾鰭がついて平和な騎士団を楽しませてくれるだろう。
何処か天然な所が心配だと思っていた団長だったが、意外と仕事は早いのだなと10年以上の同僚であり、友人でもある主席を見下ろしていれば

「シュヴァーン隊長、こちらでしたか」

噂をすればなんとやら。
白を基調とした隊服と笑顔が眩しい団長のタイミングの良さに誰ともなく口を紡ぐ。
「私をお探しでしたか?」
主席にはいと返事をしながら若い団長は我々の顔を見て敬礼を取ってくれる。
慌てて敬礼を返せば
「団長、敬礼は部下から」
「あ・・・」
瞬間的に顔を赤らめまたやってしまったと恥かしそうに俯いてしまったこの男に嫌悪感は無い。
寧ろ好感さえあるのだが
「休憩中にすみません。少し見せて頂きたい資料がありまして・・・」
手にしていた書類を主席に見せれば少し眉間に皺を寄せた彼はズボンのポケットから鍵の束を取り出し、一つをはずす。
「予備の鍵でよければお持ち下さい」
ですがと断わろうとするも差し出された鍵を見ながら少し考え込んで
「お預かりします」
では、早速使わせていただきますねとこの長閑な昼下がりに相応しい爽やかな笑みを浮かべながら去って行こうとした団長に主席は思い出したように慌てて駆けだし
「ユニオンからの報告が・・・」
と言った所でもう声は聞えなくなってしまった。
並んで去って行く二人の背中を見送りながら
「さすが天然と言うか」
「まだ微妙な所か?」
「時間の問題と言うところだろう」
「どっちにしてもだ」
シュヴァーンに憧れを抱き、尊敬の眼差しがいつしか色目で見るようになった同僚達の哀れっぷりに溜息を零した。

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