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妙に時間がかかった14話目です。
また何処で区切ればいいのかわからずだらだらと書いたからもう読み直したくないです<マテ

最近花粉症が酷くて死にそうだと思ったら単なる風邪だったようです。
ここ2日でティッシュ二箱使い切るという、ゴミ箱がモフモフした光景に鼻炎の薬から風邪薬に変えたとたん体のつらさがぴたりと止まりました。
おまけに鼻ったれも。
この時期の風邪は見分けが難しく困ります。

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げて!




結局次の日の夕方まで眠り続けたおっさんはそれから月が一巡りする頃、またケーブ・モックに行くと言った。
ひょっとしてとか色々な憶測でこの現象に興味を持ったリタを始め、何かあった時のエステル、その護衛にフレンと言った何時ものメンバーが終結した。

満月の日の朝。
ユニオンよりダングレストから近いケーブ・モックの調査続行とハリーから仕事を任されたおっさんを俺達は街の出口で待ち構えていた。
「だからってこれはちょっと大げさすぎない?」
「無茶をする誰かさんを思えば当然の事だろ?」
無茶をしがちな大人に当り前だろと言えば、思いっきり脱力したように項垂れていた。
「あのねぇ、青年達はまだあの森の状況見たことないでしょ?
 遠足気分でいくところじゃないのよ?」
「ごめんなさい。私達も素材集めの依頼を受けているの。
 手ぶらじゃ帰れないわ」
喜々と説明するジュディに説得は無理と悟ってか足はケーブ・モックへと進み、俺達はおっさんのすぐ後ろについて案内を任せた。

何回も訪れた事のあるケーブモックはかつて訪れた森とは雰囲気が変わっていた。
荒れ果てた森の入り口、ざわついた空気、何よりも森事態が殺気立っている。
「これは酷いわ」
かつての森の入り口は木々が倒されて何処から入っていけばいいか判らない。緑溢れた森もまるで何処かの戦場の後のようだった。
そのくせ遠くから聞える魔物の咆哮は何処か悲鳴じみていて、魔物も苦しんでいるのですねとエステルの呟きに誰もが無言の返事を返した。
「そんなわけで、前通った道はもう無いから注意してね」
言ったそばからホーリーボトルを振りかけて、道なき道と言うか、歩いたそこが道だという様に倒れた巨木をよじ登っては進んでいく。
素材集めも大切な依頼の一つだが、道と言うにはあまりに酷すぎるこのケーブ・モックの状態に足を踏み外さないように歩く事に集中する。

「・・・ったく、なんつー森だよここわ」

根を上げてしまうのは仕方がないだろう。
「ちょっと休もうよ」
カロルが一番に座り込んでしまえば、情けないとか言うだろうと思ったリタも賛成とエステルと一緒に座り込んでしまった。
テントを張る場所さえないこの森でござを広げてしばしの休憩を取る事にした。
なんせホーリーボトルが効かない。
いや、ちゃんと効いてるのだろうが、それ以上に魔物が多いのだ。
まるで森の奥に何か恐ろしい物がいるというように逃げ出そうとしている魔物達相手に素材集めどころでは無いというのが現状だ。
それに・・・
「おっさん大丈夫か?」
ただでさえ体力のないおっさんなのにエアルの影響を受けてござの上に寝転びグミをゆっくりと咀嚼していた。
一月前の夜を思い出すものの、おっさんはまだ大丈夫と力なく笑ってみせる。
さっきから足を止めては心臓に手が触れる回数が多くなって目的地が近い事が嫌でも判る。
最初こそリタもからかい混じりに「便利なのか不便なのかはっきりしなさいよ!」と呆れていた物の、さすがに今の状態ではそんな事さえ口に出せない。寧ろ後悔してるんじゃないかとちらりと様子を見れば、予想通りさっきからちらちらとおっさんの様子を盗み見るように気にしていた。
フレンが何とか体を起せるようになったおっさんに水を差し出して軽く食事を取らせていたが、一人この近辺を探索に出ていたジュディスが戻ってきた。
「エアルの源泉を見つけたわ」
高い木の上から颯爽と降りてきた彼女は長い触角を優雅に翻して立ち上がる姿は戦乙女のように美しい。
但し途中遭遇した魔物の素材をいくつも手にしていなければの話だが、人間より身体能力に長けたクリティア族ならでわの身軽さが羨ましくもある。
「やっぱり、前に見た源泉が暴走していたわ」
「エアル・・・暴走・・・満月・・・周期・・・」
単語だけを並べてきっと俺達には想像も付かない事を考えているだろうリタを見ながらおっさんは立ち上がり
「そろそろ暗くなるから行きましょうか。ジュディスちゃん案内よろしくねぇ」
語尾にピンクのハートマークでもおまけにつけてるんじゃなかろうか言葉に俺だけでなくても揃って顔をゆがめる。
まだ少し距離があるとは言え既に影響を受けているおっさんを本当に連れて行ってもいいのか判断に苦しむが
「そんな顔しないの。これでもう4回目の検証なんだから。
 今までだってちゃんと無事に戻ってきたでしょ?」
「アレを無事って言うならこんなにも心配しねーよ」
ベットに寝かしつけて少し話しをした後泥のような眠りにレイヴンはついていたのだ。
寝返りを打たず、夢も見ず、浅い呼吸を繰り返し、いつもなら眠りが浅い男なのに俺が側に居てもまったく関係ないと眠り続けた姿は普通とは言いがたい。
本当にこのまま目を覚まさないのでは無いかと恐ろしさがこみ上げてきたが、陽が沈みかけた黄昏時になって漸くこの男はもぞもぞと目を覚ましたのだ。
「あら、もう夜?」
窓なんて開けた事無いだろう季節外れの厚手のカーテンの隙間から零れ落ちた微かな明かりのなか俺を見つけたレイヴンは何時もと変わらない顔で起き上がった。
異常なまでの深い眠りについただけで、その後はいたって何時ものとおりだったのだ。
おっさんにしたらちゃんと目が開いて動けるのだから問題にする事じゃないといいたいのだろうが、ひたすら起きるのを待ち続けた身としてはそれを無事と表現するにはかなり難しいと思う。
そんな俺の心配を余所にジュディスの案内で源泉の場所へと向えば、やはりそこはあまりにもエアルの濃い場所だけに記憶の通りの姿が保たれていた。
ふらりふらりとした何時もの足取りでフレンの隣に立ち
「今シュヴァーン隊の奴らにカドスの喉笛の方を様子見に行かせてるけど、やっぱりあっちも同じ現象が起きてる」
驚いたように振り返ったフレンに
「満月の度にこんな事が起きるのを確認出来てから報告に行こうと思ったんだけどね。
 とりあえず地理的にも戦士の殿堂の方に満月の日は通行止めにしてもらってる」
「じゃあ、エレアルーミン石英林やゾフェル氷刃海の方も同じ現象が起きてるの?!」
悲鳴にも近いリタの叫びにおっさんは真面目な顔をして頷く。
「まあ、あっちはここやカドスの喉笛とは違って人が近くにも寄り付かないから調査は前回で打ち切ったけど、デュークがシルフちゃんとこの現象について調査してくれてるからそっちに期待しましょ」
パチンとウインクをフレンに送れば、少し小難しい顔をしたフレンは小さく「判りました」とだけ返事を返した。
まあ、これだけの大事が起きていながら報告が来なかったという事にショックだよなーと思いながらも、フレンの事だからきっとややこしくその言葉を深読みでもしているんだろうと呆れたように溜息を零す。
確かにぼろぼろと要らない情報はくれるのに肝心な事は話そうとしないくえないおっさんだけにそうなっちまうのは仕方がないだろうが、今のこの面子はそんなふうに言葉を誤魔化さなくてもいい間柄だ。
そのままちゃんと受け止める事は出来ないのかと笑いとばしたいくらいだ。

森の夜は俺達の間隔よりも早く訪れる。
昼の纏わりつくような深い霧は風と共に何処かに飛ばされ、雨の多いこの地域では珍しくいつの間にか夜空は晴れ渡っていた。
珍しいと、瞬く星空を見上げながら、エステルがこの地域一体の星図をのんびりとカロルに教えながら時間を潰す。
不意に息苦しさを覚えてリタを見れば、下がってと短い指示に何度か体験した苦しみの学習に重い体を動かす。
濃いエアルの影響を受けすぎないように遠巻きに観察できる所まで下がりながら闇が深まるにつれてエアルの本流が強くあふれ出すのを眺めていた。
おっさんは随分と距離をとっているはずなのにエアルの影響を受けてか震えるぐらい体が冷え切っていて、ラピードの背中に張り付いてそのまま動けないで居た。
月が南天に差し掛かる頃になると、旅の間でも見た事がなかったくらい激しく、光の柱のようにあふれ出したエアルに恐怖と感動を俺達に与えてくれた。
月の輝きにも似た視覚化されたエアルはまるで月まで届けと言うように行く筋の束が連なって一つに交じり合い漆黒の夜空を突き抜けていく。
輝きの恩恵を受けた周囲は昼間ほど明るくはなく、満月の晩よりも明るく、不思議な、幻想的とも言っても良いこのテルカ・リュミレースの生命力そのものを俺達は見ていたんだと思う。
だけどその現象はあまり長くはなく、ほんの一時のもので、月が西へと傾くにつれて次第に輝きは弱まり、つきまで届かんとした光の帯は短くなり、ピーク時にはこれだけの距離がありながらも覚えた息苦しさはいつの間にか楽になっていた。
そして一刻ほど経てばあれだけ強い輝きを放っていた源泉の場所はおっさんが側に近づいても大丈夫なくらい落ち着いた物となっていた。
「終わったの?」
あまりにもの想像した事がなかった現象に興奮冷めやらない口調でカロルがレイヴンに訊ねていた。
「ん?ああ、今回はこれでお終い。次に起きるのは今度の満月の晩、かしら?」
努めて明るい口調で言うが、この暗闇でもあからさまに顔色の悪いおっさんにエステルは問答無用で回復術をかけていた。
「それにしても、美しかったですね」
「でしょ?こんな苛酷な仕事でも、こんなにも綺麗な物見せ付けられたんじゃ放り出すわけにも行かないじゃない」
エステルの回復術を疑ってるわけでは無いが、フレンも手持ちのグミを食べるように勧めている。
グミを受け取りながらおっさんは来た道へと足を運びながら
「さ、今回の調査はこれでお終い」
「えー?!もうちょっと調べたいのに!」
リタの好奇心を見事擽った現象だったが、おっさんは酷く真剣な顔で俺達を見る。
「ここからがこの仕事の一番苛酷なところなのよ。のんびり調査なんてやってられないわ」
傾いた月の輝きを受けて語る翡翠の眸の言わんとする所をほんの少し後に体験する事になった。
濃いエアルから逃げ出した魔物の地響きが何処からか聞こえてきた。
それは振動となって足元から響き、こんな夜更けに己のテリトリーに一刻でも戻り安心したいという真理なのかテリトリーを荒らされたという怒りなのか、とにかく物凄い足音が地響きとなって伝わってきた。
「おっさん・・・一番苛酷って、ひょっとしてこの事か?」
「他にあると思う?」
数秒の間見詰めあって、誰ともなくその場を駆け出していた。
森から少しでも遠くに逃げ出そうとしていた魔物達が急激なエアルの減少に気づいて我先にへと津波のように戻ってくるのw幾重にも重なった倒木の上から唖然と眺めた。
「ダングレストに戻るのにアレを越えなきゃいけないのか?」
ひょっとしてと言う意見にうんうんと頷くおっさんは
「高い木の上に登ってやり過ごそうとかしてみたけど、あいつら木なんて見えちゃいないからね。
 下手に昇ると危ないから止めようね」
既に身長ほど木に登りかけていたカロルに注意を与える。
「ですが、如何すればケーブ・モックを出る事が出来るでしょうか」
「つーか、さすがにこれは捌ききれないでしょ」
捌く捌かないのレベルの問題では無い。
「ちなみに・・・テントとか、ホーリーボトルとかおっさんも色々やって見たけどね、奴ら気にもしないのよ」
トホホと嘆くレイヴンに腰のベルトから魔術書を取り出したリタがいらだたち気に
「だったら如何すりゃいいのよ」
引き攣る口元に努力と言う言葉を知っているだろうかと言うようなおっさんはへらりと笑って
「隠れて、戦って、逃げての繰り返し?」
如何する事もできないと認めたようなものだった。
だけど、人をやる気にさせる事に関しては長年隊長職に居ただけあって、
「前回はデュークが居たから俺様楽させてもらったけど」
俺達を見渡してそっぽを向く。
それから仕方がないと弓を取り出し「頑張りましょう」と、気の抜けた声で呟いていた。
俺達がそんなに役に立たないと思っているのか?
俺達は足手まといか?お荷物か?
デューク一人より無能だといいたいのか?!
何気に対抗心を燃やしたのは一人や二人だけでは無い。
いきなり詠唱を破棄してリタがフレイムドラゴンを解放ったのだ。
邪魔だといわんばかりの木々をなぎ倒し、同時に前方に居た魔物が宙に舞い上がる。
「あの赤目にあたしが劣るとでも言うの?!」
プライド高い精霊魔道士様はかなりおかんむりのようだった。
まるで口から火を吐くというように連続でフレイムドラゴンを乱発し、魔力が切れた所で男前な仕種でパイングミを口へと放り込んだ。
木々が倒れ頭上が随分とさっぱりした所へジュディが舞い上がる。
空を飛ぶ鳥型の魔物を次々になぎ倒し、
「あー、こりゃ帰って来ないな」
ユーリは星が瞬く夜空を見上げながら呟くもすぐさま彼女は地上へと華麗に舞い降りた。
「倒すのはいいけどちゃんと素材集めてね」
魔物を串刺しにした槍をぐるんと振り回し、必要な羽毛などを慣れた手つきで回収する。
あまりの逞しさにあわわとうろたえるカロルとは別に私もとエステルまで張り切りだした。
彼女にとってジュディはいろんな意味で憧れの存在なのかと思うも、せめてもうちょっと別の所を真似ればいいのに何て、エンジェルリングで魔物を光の輪で集め、そこにフレンが飛び込んで行き、追いかけるようにカロルも飛び込んで行った。
「ほら、青年もダングレストまで戻りたかったらぼさっとしない」
次々の矢を番えて後方からからの援護に徹するのをみて
「無茶するなよ」
言っても意味のない言葉と判っているが
「青年もな」
予想外な真剣みを帯びた声に思わず振り向く。
上空で魔物に切りかかり、それを足がかりに次の魔物に飛び掛るジュディの援護に、もう一つの顔の、本性とも言っていい人物を思い出すも、ゆっくりさせてくれるほど状況は優しくなかった。
せまりくる魔物を捌きながらケーブ・モックを脱出しなくてはいけない。
切り開かれた場所から空を見上げればバウルが上空で道先案内をしてくれた。
魔物が来れない高さまで居るから大丈夫とジュディの説明に、バウルの案内を頼りに道なき道を切り開く。
暗闇に目がなれて、足場もだいぶなれたものだが、この森の何処に住んで居たんだと言う群は少しずつだが数が減ってきていた。
だけど同時に幾つかのアイテムが品切れとなり、幾つかの武器を失った。
今では正面から戦う事を止めひたすら逃げるように走っているだけなのだが、体力のないおっさんを始め、疲れが溜まりだして来ただろうリタやエステルを守りながらの逃走は気がつけば朝を迎えようとしていた。
深い森でもわかるその陽光に森の出口も近い事をかんじていれば、次第に正常になリだした森の気配に少しだけほっとする。
が、それは単なる新しい戦いの幕開けだった。
森の中に魔物の縄張りがない所は無いというように、森の外に向って走っていたがいつの間にか縄張りを荒らしたなと言うように追いかけられるようになっていた。
「もう勘弁してよ!」
全員の叫びを代表するかのように吠えたカロルに反応するかのように何処からか魔物が集ってきた。
出口に近いだけあってあまり強い魔物では無いのだが
「あんたなんて事してくれるのよ!」
何処にそんな気力が残ってたのかと言うようにリタがカロルの頭をゴツンと叩いて、少し緩みだしていた足の運びを気力だけで何とかと言うように速める。
「また来たわよ」
身体能力が高いとは言え、さすがに疲れを隠せなくなってきたジュディは余分な荷物は持ってられないと素材集めを放棄し、折角集めた荷物は既に何処かに捨て去っていた。
ジュディスの合図に振り返ったおっさんは襲い掛かって来る魔物の集団を見て悲鳴を上げる。
「ちょっとこれは多いんでないの?!」
その声に違和感を感じた。
息が切れているのはずっとだったが、離れ離れにならないように注意していたのに妙に声が遠くから聞えた。
隣を走るフレンにこの場を任せて振り返ればその体は大きく傾いていた。
この辺りの地形には明るくなかったが、随分と切立った崖の側を走っていて注意はしていたつもりだった。
だけど足が縺れたというようにふらりと倒れかけた体は足元の地面がそこにはなく
「レイヴンっ!!!」
眼下に広がる森を見下ろしながら、緑の闇に吸い込まれるようにその姿が消えて行った。
反射的に伸ばされただろう手はただ宙を掴むだけで、俺の悲鳴に気付いたみんなも振り向き、遠く離れた谷底に向って次々にその名を呼んだ。

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