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空に向かって手を上げて
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またもやお兄様登場。
今回も残念なお兄様です。





今日はバイトが入ってないからと学校から帰ったら即行で夕食を作りフレンと食べる。
「今日もレイヴン先生の所へ?」
「ああ、おにーさんにおっさんの子供の頃の写真を見せてもらうって約束してるんだ」
とんでも兄弟からの対面から少しずつ調子を上げていたユーリは今日も足しげく最愛の許へと通い続ける生活に戻った。
「レイヴン先生の子供の頃か。僕もちょっと気になるな」
「もし写真もらえたらフレンには見せてやるぜ」
「楽しみにしてるよ」

鶏肉の肉団子とカボチャを入れたクリームシチューは冬の定番料理と言ってもいい。
残りの鶏団子は普通に焼いて砂糖と醤油で作ったタレを絡めて食べる孤児院に居た頃からなんら変わらない食事風景だった。
作るのは俺の担当だけど、片付けるのはフレンの担当。
たまには僕が作るよと言うはた迷惑な親切は俺が片付けるの苦手だからと断わるのが上策。
手早く食事を済ませてコートを着込み
「遅くまで居たら迷惑になるからなるべく早く帰ってくるんだよ」
「終電までには帰るさ」
デザートブーツを履きこんで足取り軽くおっさんたちのマンションへと向った。

通いなれたマンション。
すれ違う人とも挨拶を交わすようになった。
ポストの中に突っ込まれたチラシを取り、押しなれたエレベータのボタンを押す。
ゆっくりと動くエレベータが酷くまだるっこしいもののやっと来たエレベータで運んでもらう僅かな時間は何よりも楽しみだ。
チンと小さなベルがなってドアが開く。
おっさんの家まであと数歩と言う所で、おっさんの家のドアが少し開いていた。
足元を見ればおっさんのサンダルが引っかかっていたから「こんばんは」何て空いているドアを更に広げて家の中を覗く。
「げ、イエガー?!何でおっさんの家に居るんだ・・・」
呼ばれて振り返ったのは母国語が残念な英語の教師だった。
「おや、そこに居るのはユーリ・ローウェル。スチューデントをホームに連れ込むなんて感心できないデスネ」
その奥にはおっさんとおにーさんが何処か頭痛そうに床や天井を眺めていた。
「青年、とりあえずはいんなさい。ご近所迷惑だから」
おいでおいでとおっさんに手招きされて家に入れば
「相変らずスモールなハウスですね」
靴のまま上がろうとするので、さすがにおにーさんがイエガーの前に立ちはだかる。
「誰がお前に入れと言った」
いつも穏やかなおにーさんの信じがたいほどに機嫌の悪い低い声に思わず振り向く。
イエガーは慣れているのか気を悪くもせずただ肩をすくめ
「大切な書類をブラザーから預かっているのデス。感謝してコーヒーの一杯位出して欲しい物デスネ」
『これだからしつけのなってない奴は親の顔が見たいものです』とぶつぶつ言うイエガーにおにーさんは『お前の家にも写真ぐらいあるだろう』なんて…思わず聞き直したい言葉を吐きながら冷蔵庫からよく冷えた缶コーヒーを取り出して押し付けていた。
「車の中は暖房で暑いくらいだろう。これが丁度いい」
何時もの何処か優しげな顔立ちは睨みつけてるというか、なんと言うか。
とにかく迫力満点でこそこそと逃げるように奥へ引っ込んで行ったおっさんを捕まえてる。
「どういうことだよアレ」
こっそりと何時もとあまりに違うシュヴァーンの様子に二人はどういう過去かと訊ねれば
「まあ、昔からちょっと色々あってね」
「犬猿の仲って奴か?」
「子供のころから仲よくはなかったけど・・・なんでかしら?」
知らないわけないはずなのに苦笑紛れに誤魔化されてしまうも玄関から聞える会話につい耳を傾けてしまうのは仕方ないだろう。
「用事が済んだのならさっさと帰れ」
「久振りに会いに来たと言うのに相変らずつれないデスネ」
「俺は会いたくないし、お前が居ると空気まで悪くなる」
「オヤオヤ、可愛いレイヴンの体調が悪くならないように換気は・・・って、ちょ。人に向ってソルト撒き付けるのは迷惑デスって・・・」
「これが日本古来の浄化の方法だ」
「そんなの初めてキキマシタヨー」
そんなやり取りを聞かなければ良かったと聞こえてくる物はしょうがない会話にあの冷静で知的タイプなシュヴァーンの一面に冷や汗を流す。
「お兄様だけは怒らせないようにしよう」
「懸命ね」
「確認するけど、こないだの銀髪と親類関係とか」
「口に出したくないけど血縁上そうなってる」
コタツに行儀よく正座して座りながらただ騒いでるだけのテレビを眺めて、きっとこのドアが開く時は何時ものシュヴァーンだと言う事を信じてその瞬間を待ち続けた。

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