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拍手ありがとうございます!
何とか昔の書きかけの作品の続きを書いておりますが…
放置プレイの作品の多さにびっくりですよ椎名さん!
何故かモチベーションが上がってるのでその合間に書けるだけ書いてみます!<希望





学校の物理準備室。
昼過ぎの穏やかな陽気の中おっさんの作ってくれたコーヒーにミルクと砂糖を入れる。
その瞬間ありえないと言うような目で俺を見るも俺は珍しく教科書とノートを取出し勉強を教えてもらっていた。
「珍しいわね、青年が勉強に励むなんて」
言いながらも躓くたびに赤いボールペンで間違いを書き込んでくれる物理教師のどこか丸っこい指先を眺めてしまう。
「まあね。勉強の必要性をやっと理解できたから」
「ふーん?ま、何があったか聞かないけど、いい傾向じゃない」
何があったかなんて…おっさんの兄弟を知ってからおっさんをあの兄弟から救出する方法の第一歩なんて口が裂けても言えるはずはない。
「高校卒業したらさ、せめて一人暮らしできるようになりたいんだよ」
「卒業したらフレン君とはさようなら?」
「いや、卒業したらすぐにとかじゃなくてな、せめて甲斐性のある奴になりたいって言う所からだよ」
「一人暮らしできるような余裕があってもおっさん達みたいに諸事情で一人暮らしできない問題もあるからね、そう言う所見なおしたわよ」
少し驚いた顔が言葉の通り褒め称えてくれていた事には思わず照れてしまうも
「やっぱおにーさんの体が弱いからか?」
重度のブラコンが発覚してからどうもあの優しげな視線をそのまま受け取れないでいる俺としてはなかなかあの家に遊びに行くのがつらくなっていた。
「それもあるけど、ほら、おっさん達双子じゃない。全部が全部って言うと語弊があるけどどうもやっぱりちょっと虚弱体質なのよ」
「おっさんも・・・かよ」
驚きのあまり思わず言葉が続かなかったが
「昔いろいろあって、一度本気でぶっ倒れた事があってね、それ以来デュークは大学入試直前だったかしら?急に進路を変えて医者になるし、イエガーはウォール街を捨てて日本に住みついちゃうし、アレクセイも・・・おっさん達過ごしやすいようにあれこれしてくれるし…」
何を思い出したかは知らんが虚ろな視線が窓の外をぼんやりと眺めていたが、最後のは多分聞いちゃいけない話なんだろうと「大変だったな」とその場を濁すだけにした。
「まぁ、あの時の一番の被害者はシュヴァーンだったわね」
懐かしそうに目を細めて思い出す過去。
「双子のシンパシーって聞いた事ない?」
「片方が怪我するともう一方の同じ箇所が痛くなるって言うあれだろ?」
「そう、それ。
 おっさんが倒れたせいか、シュヴァーンも同じように突然理由もなく倒れてね。
 なんでか知らんけどそれ以来離れるのを異常に怖がる事になったのよ」
「わからんでもないな」
俺の返事にどこか困ったかのように笑うおっさんは俺の視線を覗き込んで
「そんな困った兄貴達ばかりだけど嫌わないであげてね」
「いや、嫌わ…嫌わな…若干苦手意識の方が強いけど、毛嫌いするまでもないだろう?」
言えばおっさんはぱあーっと顔を輝かして上機嫌になる。
「あんなどうしようもない兄貴達だけどよろしくしてあげてね」
「よろしくって、どうしたんだ?面と向かっての話なのかこれは?」
聞き返せば
「だって最近青年家に寄り付かなくなったじゃないの。
 手懐いた野良猫じゃないけど、なんか気に障る事でもあったかなー?
 やっぱり兄貴達が問題だったかなー?
 …なんてね」
ちらりと伺うような視線。
そりゃそうだ。
おっさんにはシュヴァーンに釘を刺された事までは言ってないし言う事でもない。
「ああ、そんな事か。
 ただ最近この通りちょっと勉強の重要性に気づいてフレンに勉強を本格的に教えてもらってるだけだよ」
そしておっさんをあの兄弟から奪い取る…ではないが、兄弟離れをさせる必要性を見出しただけの話だが…
まさかこんな事情を抱えていたと言うのは想像もしていなかっただけで。
だからせめて、兄弟から離れたくなった時の場所の提供ができる大人になりたいと言う俺の目標はたぶん悪い事ではないだろう。
「で、早速だけで悪いんだけどよ。数学教えて」
「しょうがないわねぇ」
少し困った顔を見せるも机を挟んだ正面から公式の展開式を丁寧に解いて教えてくれるおっさんになんか近づいたような気がして緩みそうになる顔を数学に集中する事で何とかこの時間を乗り越える事に成功した。

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