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ようやく過去の話に戻った。
何か話が途切れちゃったけどとりあえずここまで。
次の分までまとめたかった・・・

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げて!







最初、それはユニオンから回ってきた仕事だった。
久振りにダングレストに寄ったついでになじみの顔でも様子見しようかとユニオン本部へと足を運んだ。
顔なじみとなった入り口の番人に挨拶をすれば丁度レイヴンも帰ってきてるぜと予想外の朗報。
ザーフィアスの仕事が一段落したんだねと何処か嬉しそうなカロルの口調に俺でなくともジュディスまで微笑んでいた。
レイヴンはレイヴンで胡散臭いけど人懐っこくとっつきやすくて俺としては油断はならないが付き合いやすい相手だ。
その基本となるシュヴァーンになると、やはり一度斬った相手と言うこともあって少し緊張する。
だけど、やはり基本は悪くは無い。
胡散臭い態度もなければ、丁寧かつ真摯な態度は・・・レイヴンを先に知ってしまっているために胡散臭さ大爆発だ。
じゃなくって、あの堅物フレンが尊敬をし、シュヴァーンと出会った日や、会話をした日なんかはまるで好きな女の話をすように俺に報告をしに来た。
一体どんな人物だと思ってこっそり城に覗きに言った事もあったが、ちょうどフレンと二人。何か会話をしている時だった。
隊長主席をしてるって聞いてたからどれだけ厳つい奴、いやいや、骨のある奴かと思えばフレンが視線を下げるほど背にあまり恵まれなく、伸びた影はフレンの中にスッポリと隠れる物だった。そのくせなにやら色々指示をしているのか、何度も頷くフレンの態度は何処か緊張している。
最後に胸をトンと叩いて手を上げて去って行った後姿に頭を下げ、暫くして歩き出した浮ついた足取りに眉間に皺を寄せてしまったのは仕方がないだろう。
あれだけ女が寄って来て、幼なじみとしても理想を絵に描いたような王子様キャラだと思ってたのにまさかそんな趣味があったなんて、と言うか、今まで特定の恋人を作らなかった時点で気付けよ俺と心の中で叫んで見るも、その夜案の定と言うかフレンがやってきて「今日もシュヴァーン隊長は素晴らしかった」と、役者に恋焦がれるような娘のようにシュヴァーンとやらを語りつくして去って行った。
勘弁してくれと思うもその気持ちがついに理解できる日が来るとはついぞ思わなかった。

アレクセイ、デュークと戦い星喰みも消えてやっと平和になった世界。
そこにある日常がなくなるとは考えもした事がなかった。
凛々の明星はもちろん、リタもパティもおっさんも一緒にいるものだと思っていた。
さすがにエステルとフレンは城に帰るのだろうと漠然と理解していただけに、その気になればいつでもあえるよなと下町からすぐそばだと考えて寂しさを消した。
リタは崩壊したアスピオの自分の家が気になるというようにさっさと戻っていき、パティとて新たな航海時代の幕開けじゃ!と意気込んで海に帰って行った。
そしておっさんもダングレストに帰ると歩き出そうとした所で一人の男、ドレイク・ドロップワートに捕まっていた。
「シュヴァーン・・・」
「シュヴァーンは死んだんだって、俺様はレイヴン」
「どっちでも良い。ギルドに戻るのは勝手だが、混乱した騎士団に少しでも哀れと思うのなら戻っては来ないか?」
確かに騎士団は混乱の極みに達している。
新しい騎士団長としてフレンが立つにしても最年少の騎士団長に従う物なんかたかが知れている。
それを支えろという事なのだろうが
「ギルドも混乱を極めてるのよ。知ってるでしょ?五大ギルドのうちまともに動いてるのは二つしかないんだから」
天を射る矢と幸福の市場はともかく遺構の門も魂の鉄槌はどちらかと言うと職人気質のギルドだ。世界の混乱なんて知ったことではないとひたすら己の道を突き進む超マイペースなギルドだ。
未だこれほど結束した事は無いだろうユニオンはそれでも新しい指導者の実力不足に伴う弱体化は至る所で無法地帯が広がっている。
それを何とかするのがユニオンの仕事で、タルカロンから戻ってきたレイヴンはその事について早速ハリーと話しをしていた。
幸いと言うか、各街に配備されたシュヴァーン隊の効果はあるかは知らないが、街中でのいざこざはダングレストを抜いてあまり耳にしない。
尤も、んな事はダングレストでは日常茶飯事だからあまり代わり映えはしないのだが。
それでも情報収集を主に請け負っていたレイヴンにまでいざこざの仲介役に回れというのはやはりユニオンが正常に働いてない事を意味していた。
「だが、ユニオンはまだ支えてくれる奴がいるだろう」
言いたい事は判る。
家族的な意味合いもあるギルドでハリーは既に後継者として、自らもそのつもりでいたのだ。
何時かはトップに立つと決意したフレンに転がり落ちてきたその座に座るには彼には少し早すぎた。
支えてくれる仲間の無力加減や、派閥争いに対抗するだけの力はなく、ましてや長年次席とも言うべき隊長主席さえ追い越しての地位は彼にとってあまりにも孤独すぎる場所だった。
「まあ、知らない仲じゃないし。でも俺様興味ないの知ってるでしょ?」
人魔戦争後にアレクセイの策略の一環でその地位を与えられたと仄めかすレイヴンにドレイクは溜息。
「まだそんな寝ぼけた事を言ってるのか」
やれやれと軽く頭を振るうもその眸には諦めた色は何処にもない。
「だったら兄貴に言っておけ。たまには戻ってきて自分の隊の面倒ぐらい見ろってな」
「だからシュヴァーンはバクティオンの中で・・・って」
「行っちまったな」
荒々しい足取りでこれ以上は聞かんと去って行った背中を眺めながら失笑。
拗ねたような目で俺を見るレイヴンに
「だからめんどくさい事になるって言っただろ?」
ゆがめる顔に俺は何処か安心をした。
切れる事は無いだろうつながりだと思っても、こうやって俺達の側に付かず離れずといるだろう彼との繋がりに安心をして、何で安心しているのだろうかと言う疑問と共に少し眉間を寄せてみた。

それ以来ギルドと帝国を行き来するようになった器用なおっさんは愚痴を零しながらも精力的に係わり合いを持つようになった。
元々他人の面倒見の良い所はあったが、自分を大事にする傾向はあまりなく、疲れたと言っては倒れるように眠りについていた姿を見るようになった。
「あんたが倒れてちゃ意味ないだろ?」
「だけど時間を無駄には出来ないでしょ?」
可能な限り働き詰めて、眠る時は泥のように眠る男は布団も被らずベットに隊服のまま横たわっていた。
死んでいた時間を埋めるようにまるで行き急ぐ男をじっと見詰め、すぐ側に座る。
バクティオンで出会った時ほど煮詰まった感じは無いが、不器用なのは変わりがないらしい。
「あんたはもっと余裕を持つべきなんだよ」
「余裕ねぇ・・・」
言って苦笑。
「ギルドも騎士団も辞めれねぇなら何か趣味を持つとか」
「ナンパとか?」
「それはいい・・・」
趣味と言うより条件反射だろと言えば否定をせず微かな笑みを浮かべた。
「だったらそれをもっと発展させてみろよ」
「こんな体でか?」
心臓ブラスティアを指しての事だろう。
ダングレストに幾人もの女の子と付き合いがありながら特定の深い仲と言う相手にはついぞ会う事はなかった。
俺が思う以上に魔道器のの事を気にして入るだろうシュヴァーンの胸へと服の上からそれをなぞりながら
「なら俺じゃ不服か?」
そんな言葉がするりと零れ落ちた。
キョトンとしたあと思いっきり眉間に皺を寄せ、胡散臭そうに俺を見上げながら少しずつ距離を開けて行った。
「青年、冗談にも程があるわよ」
シュヴァーンの姿でレイヴンの口調は酷く不似合いな物が合ったが、どちらも唯一人の彼なのだ。
睨めつけるような視線を見詰め返しながら、思わずと言った言葉を妙に納得している自分がいて、自分自身でさえ気付かなかった本音に今更ながら浮つく口元を手で覆い隠す。
「あ、いや・・・だから、なんだ?」
「さすがフレンの親友と言うべきかしら?」
あんな天然と一緒にしないでくれ!と、心の中で全力で否定するも、おっさんはゴロンと寝転んで俺に背中を向ける。
「まあ、心配してくれてありがとさん」
ヒラヒラと手を振ったあと、最後まで灯りを付ける事のなかった室内に沈黙だけが訪れた。
もう何も話しをするつもりはないというように大人しく寝息に近いリズムを刻みだした呼吸にやっとえた休息なのだと静かに部屋を出る。
廊下に出て城を出て、何時もの宿屋の部屋に戻りベットにゴロリと横たわる。
今更ながらに赤面をし、何の反応もなかった年上の男の態度に唇を噛む。
何であんな事を言ったのか、何で今更ながらこんなにも落ち込んでいるのか考えるまでもない事にぎゅっと瞼を閉じた。

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