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拍手ありがとうございます!
ダブルセカンドもついに二桁になりました。
一つにまとめりゃいいのにわざわざ細かくしてしまっただけに無駄にカウントが増えています。
申し訳ないっす。
そんな二桁目にあの人たちを投下しました。
ありえない設定。
パラレルばんざいな瞬間です。

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げて!




巷では何かとんでもない噂が大流行しているのをアレクセイとイエガーとキャナリは面白がって話しをしていた。
ユーリは退屈なのかクッキーを一人バリバリと食べるから、俺に出されたクッキーも贈呈する。
菓子が好きなのは同じなのか、俺の分まで食べたユーリは当然と言うようにお替りを貰ってキャナリの失笑を買っていた。
俺はといえば既に失われたアレクセイ、イエガー、キャナリの光景を興味深く観察する。
姿、形、声まで一緒なのにやはり別の世界だろう。
いや、夢であっても良いのだが
「・・・だから閣下は怒られてしまうのよ」
「そうです。たまには家に帰って娘達の様子を見るべきです」
「これだけ噂が流れているのだ。顔を見に帰るまでもないだろう」
夢であって欲しい。
アレクセイに娘・・・むすめ・・・どんなイキモノだ?
結婚してたのかと言う疑問の前にアレクセイをコピーした顔の娘が脳内に氾濫する。
恐ろしいと視線をアレクセイからさっと視線をそらせるも
「お嬢様、アレクセイ閣下のご息女がお見えになっています」
「こちらに通して」
キャナリの家の家老だろう、ロマンスグレイを後ろに撫で付けた品格良い初老の男が会話を途切れさせないようにするりと言葉を滑り込ませた。
キャナリも見事に話の腰を折らずにさらりと返答するもアレクセイの渋面にイエガーは小さく噴出し、さっきから不貞腐れていたユーリも顔見知りなのか頬杖ついていた姿勢をやっとやめた。
「謀ったな?」
「もう10日以上も家に帰らない閣下が悪いのです」
家に帰ると言っても俺の知識どおりならアレクセイの家もこの近辺だったよなと頭の中で地図を広げれば複数の軽い足取りが近付いてきた。
「お久しぶりおとうさま」
現れた長身のクリティア族の娘に思わず目を丸くする。
その陰に隠れるように立っていた少女も視線をそらしてそっぽを向いていて、更に隣に立つ少女はちょこんと頭を下げて
「私もご一緒させて頂きました」
「エステリーゼ様、こんな所まで」
キャナリは慌てて立ち上がり椅子を勧める。
どうやら彼女はここでも皇女様らしいが・・・
アレクセイを見下ろす二人の女性の組み合わせはありえない。
ポカンと見上げていれば
「なによこのおっさん」
トントンと苛立たしげに組んだ腕を指先で叩く少女は紛れもなく天才少女で
「こちらの方は?」
匂い立つしなやかな体を柔らかく傾けて淡い灰色を含む白髪にも近い男に紹介を促すクリティア美女。
「丁度今お前達の事を話していたところだ」
あら?と品の良い驚きだけを返して人の良い笑みを俺へと向ける。
「今話していた娘の養女のジュディスとリタだ。
 そしてそちらの方がエステリーゼ姫」
「初めまして」
「よろしく」
「お願いします」
3人で一つの挨拶をするコンビネーションの良さには通じる所があるらしい。
「そして彼が今噂のレイヴンですよ」
イエガーの紹介にジュディスはあらあらと驚いたように目を丸くし、リタはやっぱりリタと言うか
「うそっ!このおっさんがあのレイヴン?!」
今更ながら出回っている噂と言う物が心配になって来た。
「どのレイヴンか知らないけど、おたくのお父様には随分お世話になってるレイヴンよ。色々と申し訳ないわね」
あからさまに落胆したかのような二人と一人に向ってなんとなく謝ってしまうのは半分条件反射だろう。
「ふふふ、可愛らしい方なのね」
ニッコリと笑みをアレクセイに向け、恥らうようにその背中に隠れる仕種の違和感に背中がむずむずするも
「俺なんかより、あなたの方が何倍も何十倍も可愛いです」
ディノイア家の養女のせいか服をぴっちりと着込んでいてもしこの世界のジュディスちゃんと出会えたらと考えていただけに非常に残念な姿だけど、淑女としては軽装だけど品の良い姿に思わずうっとりと眺める。
が、
「ちょっとあんた何ガンミしてんのよ!」
ゴンと確かな重量が振り落とされて思わず机に突っ伏して頭を押さえてしまう。
「な、何って・・・」
「今のはレイヴンが悪い」
ユーリの横槍に何がといえば
「あなたは記憶を失って忘れてるかもしれないけど」
「クリティア族は本来つつしみ深いお淑やかな種族です。
 あまり人との交流もなく、ジュディスのように人間と共存するクリティア族は数多くはありません」
何かの本の言葉をなぞるように説明してくれたエステリーゼの言葉に思わず
「そうなの?!」
アレクセイに確認してしまうのは仕方がない。
だってジュディスちゃんといえば大胆で、大胆で、大胆で・・・
むさい男所帯の騎士団ばかりにいたから楽しみにしてたのに。
おっさんの唯一の楽しみだったのに。
クスンと鼻を啜ればジュディスの前に仁王立ちで立つリタは背表紙を金具で止めた本を手に何かあればすぐ反撃できる態勢に入っていた。
そんなリタから視線を反らせながら
「それにしても随分守備範囲広いのね」
どう見てもこのあからさまに違うタイプに何を基準に養子に迎えたのだろうと思えば
「お義父様に最初に養子に招かれたのはリタなの」
周りに守られてか少しだけ警戒を解いてくれたジュディスちゃんはリタの肩に手を置いて誇らしげに微笑む。
「リタはこう見えてもアスピオでも天才って言われる魔道器研究の第一人者なんです」
「その才能を買われてディノイア家に招かれたのよ」
ジュディスとエステリーゼの説明に少しばかり照れくさそうにそっぽを向く仕種に懐かしさが込上げる。
「そしてリタの義姉でもある彼女も一緒に招かれる事になったの」
「義理の姉?それは・・・なんとも似てない姉妹で」
と言うか、そんな設定初めて聞いた。
ここの世界のオプションかもしれないけど、それにしてもあまりにも共通点がない。
思わず何処かに共通点があるはずだと怒られるのを承知でじろじろと見てしまうが
「リタはクリティア族の血が半分しか流れていません」
といわれてもクリティア族のかけらもないじゃないと口にしないでいれば目の前に星が飛んだ。
「っ!!!・・・・・」
「何じろじろ見てんのよ!」
あの凶器と言っても良い本がいつの間にか振り下ろされていた。
もう一度頭を抱える事になった俺を余所にへそを曲げたリタは完全にそっぽを向いていしまった。
そんな俺達を見てはころころと笑うジュディスちゃんにまぁいいかと思うも
「お義父様の好い方って面白い方なのね」
爆弾発言が投下されませんでしたか今。
「あの、今・・・」
どういう意味かと聞こうと思うもイエガーもキャナリも視線をそらせていた。
腕を組んでいらだたち気に目を閉じているユーリも答えてくれる気配は無い。
知らず知らずと言うようにふわふわの砂糖菓子のようなエステリーゼへと視線を向ければ
「アレクセイとは深い仲だと聞いてます」
噂ですがとキョトンと悪びれる事もなく照れる事もなく言った嬢ちゃんの言葉に恐ろしくて隣に座るアレクセイの顔なんて見れない。
ははは・・・と引き攣る頬に頭の中は真っ白だ。
何でありもしない事を、いや、どうしてそういった噂話をまるであったかのように受け止めれるのだとガリガリと頭を掻き毟ってしまえば
ドンっ!
机を叩く音に何処か浮ついた空気が引き締まった。
恐る恐ると視線を上げれば一つ遅れてガタンと椅子がひっくり返った音が静かに響く。
誰ともなく息を殺していつの間にか立ち上がっていたユーリを見上げていればぐいっと引っ張られた。
「レイヴンは俺のなんだからなっ!」
何故か頭を抱きしめられてそう宣言したユーリの言葉の意味が判らない。
ただ周囲は予想外と言うか想定外と言うかなんと言うか。
一様に驚きの視線で俺とユーリを見ていた。

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