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拍手ありがとうございます!
うん。今日は忘れずに言えた<マテ!
いつもありがとうございます。忘れていたわけではありません。うっかりしてただけです<撲殺☆

関係ないけどエイプリルフールの限定かいてる時はものごっそテンション上がって一日中でも書いてられるわなんてランナーズハイ状態でしたが、気が抜けたというか、山を乗り切ったというか、ペースが大幅ダウンしてます。
ネタは色々あるのにね。
裏とか前サイトの隠しを持ってきたい。あんど、続きを書きたい。
やりたい事だらけのジレンマですな。
必殺公式小説の為に当分パラレル続けます。

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げてください!







ユーリは城内で己の権限で訪れる事が出来る限りの中、上位3位内にランクするだろう美しい廊下を歩いていた。
白い大理石は鏡のように磨き上げられ、意匠を凝らした柱や天井の細工、照明魔道器のを反射させるランプの傘の芸術性を一切無視をして騎士団団長の部屋・・・の隣をノックした。
だけどいくら待てど返事はなく、ガチャガチャとドアノブを回せば鍵が掛かっていた。
そこで漸くその隣の部屋。アレクセイの執務室の前を警護するように立つ親衛隊の騎士を初めて見る。
「レイヴンは何処か行ってるのか?」
警護する騎士は困っていた。
噂では色々聞いているが、面と向って訪れる人もなく、話す事も無く。その存在について訊ねられる事もなかったのだ。
返答に困っていた騎士に痺れを切らしたのはユーリの方で
「ま、良いか。先に団長に報告しとかないとな」
普通はそっちが先では無いのかと言いたげな騎士を無視してユーリはノックをする。
「キャナリ隊ユーリ・ローウェルただいま帰還しました」
「入れ」
中からの声は何処か固いものに如何したんだと扉の前に立つ騎士に訊ねるも何の反応ももらえなかった。
まあ、親衛隊の奴らは普段からこんなものだと思いながら扉を開けた。
ガチャリと埃と汚れを落とした鎧を鳴らし敬礼を取って
「魔物討伐の任の報告にまいりました」
言って色々な報告書などの紙の束を差し出そうとする前に、部屋のソファーにちょこんと座っているレイヴンを見つけた。
「あんた、ここに居たのか」
その向かいにはアレクセイが座っているが、なんだかレイヴンは怒られているようだった。
あんたなんかしたのかと言う前にアレクセイは腕だけを俺に伸ばす。
書類をよこせということだろう。そしてさっさと去れと言いたげな気配に溜息を一つ。
「なに怒られてんだよ?」
空気を無視してレイヴンの隣に座った。
ははは、と乾いた笑い声を零して視線を反らせたレイヴンとは反対に、書類を俺の手からむしりとった団長殿は物凄い勢いで睨みつけていた。
「留守の間にちょっと色々あってね」
「まさか団長に変な事されたとか・・・」
ピシリと浮き出た血管にヤベッなんて思うものの、レイヴンは慌てて取り繕う。
「そんな人聞きの悪い事口にしないの。
 大体悪いのはおっさんで、団長さんはそれに対して怒らなくちゃいけない立場で、ユーリが間に入る理由は無いんだから」
「私が怒っている理由はそこでは無い」
「じゃあなんだよ」
小隊長が団長に向って使う言葉遣いじゃないでしょとレイヴンの茶々が入る。
当然アレクセイはこれを許してるつもりは無いのだが、長年注意された挙句ユーリが勝ち取った自由だ。
アレクセイはアレクセイで直す頭が無いのだといろんな隊長が並ぶ目の前で言ってのけた反撃を許可とユーリは解釈した。
それも酷いなと思うが敬愛すべき紅一点の隊長はどっちもどっちよねと言うのだから、アレクセイがこれ以上どれだけ偉くなってもこのままで居ようと決意した。
団長より偉い地位はあるのか?と首を傾げつつもだ。
そんなアレクセイは珍しく実力行使にでた。
首根っこを掴みそのままずるずると猫じゃないんだからと喚く前に開け放たれたドアの向うに追い出され、何事かと慌てた親衛隊に助けられるという始末。
振り向けばばたんと派手な音を立てて閉じられたドアはご丁寧にも鍵が閉められていた。
「くそっ、レイヴンに変な事してんじゃねえぞ!」
ガツンと一度ドアを蹴飛ばせば、いきなりドアが開いた。
「君は私を一体なんだと思ってるんだ」
仁王立ちで見下ろすアレクセイを無視して
「土産あるからまた後で遊びに来るな」
ヒラヒラと手を振れば苦笑紛れの顔がヒラヒラと手を振ってくれた。
そこでまたバタンとドアが閉まり、今は完全に話もする事ができないなと諦める事にした。



「君は随分と慕われているようだな」
「そうですか?」
この一連を見たのにもかかわらずレイヴンは酷く長閑な声で返事をした。
「あのユーリ・ローウェルがこんなにも懐いている。キャナリの次の奇跡だ」
「あ、あのー、一体何が・・・」
ユーリを珍獣なみの扱いにさせているのか聞いてはいけない疑問に興味が湧く。
「キャナリの場合は傷の手当てと餌で釣ったと言っていたが」
手負いの獣かと思うも、あながち間違いでは無いなと考え込む。
俺の世界の彼は心に見えない傷をいくつもつけていて、自ら傷付くのさえ厭わないそんな男前な彼だ。こちらのユーリがまだそこまでたどり着いてないだろうともいずれ彼のように世界の総てに恨まれても唯一の選択を自ら選ぶのだろうと誇り高き未来を想像する。
「何をニヤニヤしている?」
訝しげな目の前の男に
「いやぁ、ユーリに言う事聞かせれたら珍獣使いの称号がもらえるかしらってね」
「・・・」
さすがにこれに付いてはノーコメントだったアレクセイは色々諦めたように溜息を吐く。
「まあいい。レイヴン君は・・・魔術を使える。少しずつ記憶が戻ってると思っても良いのだな」
話がユーリが訪れる前に戻る。
イエガーよりフレン小隊との平原の魔物討伐の話しを聞いたアレクセイは、それとほぼ同時に平原での告白と言う噂話の話も耳にした。
何故かそれはどう言う事だと質問攻めに合い、戦っているうちに魔術を習得している事を体が覚えていたと嘘を言いざるを得なかった。
後ろめたさを覚えながらも実際怪我人も居ないこの部屋で披露して見せれば、怪我を負った対象人物の居ない癒しの力は暫らくの間へ屋の中をくるくると巡ってそのうち消えた。
騎士団では無いような術の呪文にアレクセイは頭を痛めていたようだったが、俺としてはリタっちにふざけた術を使うなと怒鳴られた日々を思い出し少しだけふざけてるつもりは無いのだがふざけてたかと反省した。
さすがに良い人のアレクセイの目の前でこれは無いわなと最大限反省しつつ、俺の処遇を考えている所にユーリが来て今に至り、
「記憶、って言うよりも体の方が覚えてるって言う事でしょうけど・・・」
はぁと溜息。ばれるのも時間の問題だわねと城からの逃走経路をいくつものルートを考えればアレクセイの手が俺の手を握っていた。
「な・・・」
何事?!
右手を両手で包み込まれて引っ込めるにも引っ込めれなくなった手の行方にドキドキしていればそこに唇が落ちた。
ギャーッ!!!
声を出せればどれだけ救われたか、いやこの場合声を出さなくてよかったと言うべきか、それよりもだ。アレクセイがこんなキザな事を・・・頭がショートしそう。いやショートしたい。ショートしてくれと現実を正面から受け居られなくて俺様これからどうすれば良いのと途方に暮れる。
アレクセイはそんな俺をどう見えたのか知らないが苦笑紛れの笑みを零し、
「君は知らないかもしれないがおまじないだよ」
と前置きをして身を乗り出してきたのを見て何かを思い出す。
二度ある事は三度ある。
さすがにと言うか、何と言うか。
触れそうになった唇と唇の間にとっさに手を滑り込ませた。
美麗な眉が不意に歪んだのを見て笑い声を零す。
「ははは、さすがにないでしょ?」
あってたまるかと強気で言い返せば、ふんとつまらなさそうにそっぽを向く。
「ばれたか?」
「ばれないでか」
親子でもなければ恋人でもない赤の他人同士なのだ。
こんな密接なおまじないなんてあるわけないと悪戯がばれた大きな子供はつまらないと呟く顔を睨みつければ紅い瞳が軌跡を描く。
突如目の前にサイド出現した瞳は今度こそ勝ち誇ったように微笑み
「まだまだ隙があるな」
「っ!!!」
とたんに機嫌を直し、鼻歌交じりに机に着いたアレクセイはユーリから奪い去った握りしめた痕の付いた書類を伸ばしながらサインを書き込み、当面外部との接触を禁止された俺はのそのそと歩きながら来客用の椅子に何で、何で・・・と、キスをされる理由の判らなさに仮令どんな来客が来ようとも不貞寝を決め込む事にした。

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