忍者ブログ
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
http://altoxxx.blog.shinobi.jp/
空に向かって手を上げて
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

4月の馬鹿企画。

これを書いてるのは3月30日なのでエイプリールフールまでどれだけ投下出来るかわかりませんが、とりあえずフレシュヴァを限定布教したいと思います。
でも書けば書くほどユリレイが恋しくなるというジレンマ<ヲイ
とりあえず残り一日頑張っていこう?




シュヴァーン隊長の一喝があり漸く何とか団長職に自信が付き始めた頃だった。
途方に暮れるほどの仕事はなりを潜めたものの、それでも激務には変わりは無い。
最近ではあまり剣も振るってないなと思いながら中庭の片隅で素振りだけでもと思えばシュヴァーン隊長指揮下の訓練の時間で運動不足を理由に混ぜてもらう事にした。
と言っても騎士団の剣の型の基本的な訓練に運動不足は解消されず、やがて終わってしまった訓練の時間に物足りなさを覚えてしまった。
「まあ、フレン君の運動量じゃ物足りないでしょうね」
訓練のあとお茶に誘えば乗ってくれたレイヴンさんは若いっていいわよねーと苦笑を零す。
「旅をして居た時みたいにギガントモンスターみたいな強敵に剣を振るいたいですね」
といえばジトーとした視線で「さすが青年の親友」とぼそりと称してくれた。
「おっさんとしてはそろそろ現場仕事から手を引きたいんだけどね」
結界魔道器のがなくなった今、戦える者が戦うのがこの世界の現状だ。
いくつもの術技を習得している僕達世代はともかく、これからは、特に術の習得が困難な時代に純粋な個人の能力の底上げはギルドでも必死になっていた。
「時々は訓練に付き合ってください」
城外任務の多かったシュヴァーン隊長と剣をあわせた記憶は少ない。
旅の合い間に何度か訓練に付き合ってくれた程度で、本気だったのはあのバクティオン神殿ぐらい。
いや、あれでもたぶん隊長は本気にはなりきれなかっただろうと想像すれば
「ちょっとー、何真剣な顔してるのよ。おっさんひいちゃうー」
勘弁してちょーだいと叫ぶシュヴァーン隊長に笑ってしまうも
「でも本気でこのまま書類仕事をしていると鈍ってしまいそうで怖いんです」
いつからだろうかこんな愚痴を零すようになったのは。
昔から何かと相談には乗ってもらってはいたが、愚痴を聞いてもらう事はなかったはずだと思い返す。
だけどシュヴァーン隊長はそんな僕の気も知らずにレイヴンさんとは違った品の良い笑みを浮かべ
「だから団長なんて役職は年寄りがやるものだろ?
 体力が落ち、全盛期ほどの力がなくなって諦めが付いた者がなる役職だ。
 それでいてなお若者に培った技術を教え込む情熱を持っている、物好きなんだろうな」
だからと付け加えて
「野望を持って早々に頂点に昇るとそういったジレンマに陥る。今の団長そのままじゃないですかな」
「僕としてはまずシュヴァーン隊長に団長になっていただくのがベストと思っていたのですけどね」
嫌味には嫌味で返せば言う様になったわねえと楽しげな声で返って来る。
「シュヴァーン隊長に、10年とは言わなくても、せめて5年。その下で僕はあなたに学びたかった」
おや?と言うように眉が跳ね上がる。
「先ほど隊長が言った条件は総てあなたに当てはまります。そして何よりシュヴァーン隊長は騎士を育てるのが上手だ。
 僕はまだ学ぶべきものがいっぱいで人に教える余裕すらない。だから、あなたの元でもっと騎士として学ぶべき物を学びたかった」
達観し過ぎたアレクセイには尊敬の念しか持つ事が出来なかったが、シュヴァーン隊長からは尊敬の念は持ちろん、気さくな雰囲気から人としても学ぶべき事が多かった。
何気ない心配りから、最低限の配慮まで、ついつい手を出したがる僕とは違いあくまでも本人に解決の糸口を見つけ出させる微妙な匙加減を知っていた。
「それは買いかぶりすぎよぉ」
レイヴンさんの口調で仕種で僕の本音を軽くあしらい
「シュヴァーンは自分の事も他人の事も何も考えてなかったからねぇ。
 隊長主席なんて過ぎた地位なんてあてがわれちゃったから義務として悩める若者に答えただけに過ぎないのよ」
ほんとにそうですかと言うように薄暗い室内の中の、長い前髪に隠れる瞳に問えば
「そうだな・・・」
今度はシュヴァーン隊長の口調。
思わず身が引き締まる思いの中でその言葉を取りこぼさないように耳を傾ける。
「騎士として正しい姿勢を見る事によって私の中の騎士を正そうとしていたのかもしれない。
 アレクセイの野望に加担した罪悪感それを少しでも薄めようとしていたのか、誰かにこの歪んだ騎士団を正して欲しかったのか、あの時のシュヴァーンが出来なかった事を誰かに託そうとしていたのかもしれないな」
静かにそう吐露スる口元は穏やかに微笑んでいた。
まるでバクティオン神殿でユーリに斬られた後の心臓魔道器の偽りの命を見せた時のような、そんな罪を告白するような顔。
思わず抱きしめていた。
頭で考えるよりも、一人で苦しむ姿を見ているほうが苦しかったからあなたは一人では無いというように瞬間的に距離を詰めていた。
「フ、フレン?」
戸惑う声音にすみませんと謝罪。
だけど、今はこの腕を緩める事など出来なくて
「もう少しだけこうさせてください」
ああ、と戸惑った返答にしばしの無言。
感情的な行動の後の気まずさにどうした物か密かに焦る物の時間がたてばたつほど頭の中はどうしようという言葉で一杯になって行く。
僕がした事とは言えどもレイヴンさんにそろそろ何か言って欲しいと願っていればありがたい事に第三者の手助けが来た。
トントンとノックする音にレイヴンさんに失礼しましたと詫びてから「はい」とドアを開ける。
「お忙しい所申し訳ありません。こちらにレイヴン隊長がお見えと窺ってきたのですが」
シュヴァーン隊の小隊長の一人だった。
何時もはルブラン小隊長がレイヴンさんの予定を把握しているはずだがと思えば、その他の小隊長がここまで訪れてくるという事はシュヴァーン隊で何かあったのかもしれない。
それにしてもシュヴァーン隊では既にレイヴン隊長が受けいられている事に苦笑しつつ振り向いてレイヴンさんと呼ぶ。
「シュヴァーン隊の方がお迎えに来てます」
「ああ・・・」
と、何処か固い声色に疑問を持てば
「どうなさいました?お顔が少し熱っぽいですよ」
部下の指摘に片手で顔を覆ったレイヴンさんは思わずと言うように指の隙間から僕を恨みがましく見る。
「いや、なんでもない」
そう言って「では失礼します」と、何処か逃げるように去って行った後姿を見送り思い出す。

『おっさんは照れ屋だからな』

不意に思い出した親友の笑い声と共に今度は僕が誰もいないはずの部屋で顔を両手でおおう。
「今度あったときどんな顔をすれば良いのだろうか・・・」
やってしまったと一人身悶えていれば、ノックして軽食を運んでくれたソディアに「お風邪ですか?」と尋ねられても同じようになんでもないと返して、また思い出してしまい彼女は不審そうな目で僕を見てから退出して行った。

拍手[19回]

PR
"椎名" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.