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んなわけあるかノ`´)ノミ┻┻
そんな異文化に軽くショックなレイヴンの6話目です。
じりじりとしかすすまないから展開が遅いね。
早くアクシデントが起きないかなーなんて私が楽しみにしてます<え?

それにしてもあれだね。
作品の前にコメントを置くのって難しいね。

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げてください!





あのキスの夜から数日が過ぎた。
ユーリ隊長代理はハルル~アスピオ方面の魔物討伐に借り出され今日は早朝から留守との事をアレクセイとの朝食の席で聞いた。
そしてアレクセイも先日からの仕事の続きでギルドとの会合でカプワ・トリムまで行かなくてはならないと言う。
ギルドか・・・ちょっと見て見たいなと思うも、記憶のない客人としてはそんな迂闊な事は言えない。
「レイヴンの事は、その魔道器の事もあるから、イエガーに任せる事になるが」
かまわないかな?と聞かれて嫌ですとも言えない。
キャナリを見送ってから何度か顔をあわせたが、やはりあのもうすぐパパになるもんね何て顔を見るとやりきれなさが込上げる。
「うーん、そうねえ。でもイエガー・・・さんも忙しいんでしょ?」
イエガーに対してさん付けで呼ぶ事が一番屈辱。
思わずどころか未だになれずにタイムラグが発生するも
「実は君に頼みたい事があるらしい」
「俺に?」
イエガーが俺に頼みねえ・・・任務よりも楽しい事が優先の彼の性格はこちらでも有効かは知らないがあまり良い感じはしない。
少し悩むもとりあえず話しを聞こうかと「どういう事で?」と促す。
彼は紅茶を一口飲めば、少しだけ苦笑を浮べ
「君も知っているフレンの事なのだが」
そう言えば昨日今日と顔を見ていなかった金髪碧眼の物語から飛び出してきたような王子様の彼を思い浮かべる顔はいつもにこやかに微笑んでいた。
「どうも最近元気がないと言う」
「はぁ・・・」
それが何で俺に頼みかと思うも
「どうやら幼なじみのユーリ小隊長が代理とは言え隊長を任されたのが原因らしい」
「あー・・・」
一番身近なライバルに溝を空けられたという事だろうか。
彼なりに一番負けたくない相手だっただろうに、それこそ代理と言う期間限定とは言えその役職を任されるのを快く見る事が出来ず・・・彼の事だからそんな自分に気づいて落ち込んだと言う所だろう。
「仲良さそうだからねえ」
紅茶のカップを置いてアレクセイも静かに頷く。
「フレンは若手でも指折りの有望株だ。イエガーの元で育てているのだが、今まで不満も何も言わず頑張っていたのにここに来てこんな事になるとは・・・」
イエガーの下なら随分苦労させられているだろうなあと思いつつも、こんな話を俺に打ち明けるのかが判らない。いや、なんだか嫌な気がする。ここから先は聞いてはいけない気がする。
「そこでだ。今日はこれからフレン小隊の訓練が始まる。ザーフィアスの結界を出る事になるが、君の腕を見込んでだ。
 彼の指揮の様子を一度見て欲しい」
「そんな事ならお安い御用ですが・・・何故に?」
俺なんかよりもアレクセイに見てもらうほうがどれだけ士気が上がるか考えるよりも判るはずだろうに。
「さて、イエガーの考える事は時々予測が付かないからな」
やっぱりこっちのイエガーも知ってる奴と同類かと心の中で舌打をする。
「見学と言うことで良ければ・・・」
「すまないな」
口元をナフキンで拭い席を立つ。
同じように食事を終えて席を立てば視界の端から手が伸びてきて思わず身構える。
気づいてか一瞬手を止めるも、改めてゆっくりと伸びた手は頭へと伸ばされ、小さな糸くずを拾い上げた。
「驚かせたようですまない」
「あ、いえ・・・ありがとうございます」
しくじったと視線をそらす。
半分条件反射なのは自分でも判っていたが、彼の人がもう俺に触れる事は無い。
姿形がそっくりで別の人だと頭の中では判っているのに、体が勝手に反応してしまう。
この人は何もしてないのに、寧ろ親切すぎるぐらい親切にしてもらっているのにこの反応は無いんじゃなかろうかと自分に失望。
アレクセイはカツカツとブーツの踵を鳴らして隣の私室へと向う。
開けたままのドア越しに
「カプワ・トリムには二日の旅を予定している。レイヴンの事はイエガーに任せてあるが、どうやらキャナリの様子がそろそろらしいからな、突然城を空けるかもしれない。
 ユーリの魔物討伐もあと何日かを予定しているから、君の事情を知っているフレンに何かと様子を見てもらうように頼んである。すまないが愚痴でも聞いてやってくれないだろうか」
「そっちが目的ですか」
苦笑紛れに言えば、私室から戻ってきたアレクセイもさっきまでの複雑そうな顔はもうどこにもなく同じように笑っている。
「イエガーも手を上げるほどの頑固者らしいからな。愚痴なんて今まで零した事がないという」
「与えられた任務に忠実で文句を言わないなんて理想的な部下じゃないですか」
「肩の力の抜き方も判らない問題児だ」
生真面目な性格なのはどちらも変わらないらしい。
そんなフレンに溜息を落とすアレクセイに失笑を零せば廊下からのノックの音。
「閣下、そろそろお時間です」
「判った」
外からの呼びかけにマントを羽織るのを手伝えば、アレクセイはその長身を活かして俺を見下ろす。
「折角だからトリムでレイヴンの知り合いが居ないか聞いてこよう」
「すみませんね」
たぶん居ないだろう。と言うか今の時点でレイヴンに変装中なのだ。一致する人物がいたらそれはそれで見て見たいなんて好奇心は尽きない。
「トリムは珍しい物が手に入りやすい場所だが酒は嗜むか?」
「あまり強くはないですが好きですね」
こっちに来てから一滴も飲んでいない。そろそろ恋しい気分に思わず目が輝く。
アレクセイも単純な俺に笑みを浮かべて一歩近付いた。
ん?なんて思った直後顎に手が添えられたかと思えば・・・数日前のデジャヴ。
膝を曲げなければ並ばない視線をすぐ目の前で驚き半分、無防備な扉に容易く侵入してきては一撫でしてすぐに離れた。
抵抗らしい抵抗が出来なかった俺に柔らかく微笑んだ視線をむけておまじないなんだと言う。
「旅路の無事を祈っててくれ」
最後にポカンと空いたままの俺の口を指先で撫で、そのままトリムへと向って行ってしまった。
俺は、俺は・・・

「何やってんだ」

一度ならず二度までも不意打ちのキスを受けた自分の無防備さに気を抜くのも良い加減にしろと叱咤しつつも、この世界はキス文化が盛んなのかとなんで、なんで知った顔が俺になんかとフレンが迎えに来るまで悩み続けた。

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