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小説下巻の翻弄されてぐるぐるしてます、こんにちは。
拍手もありがとうございます。
上巻に続いてあまりにもこゆい内容に何度か読み直してますが。
何度も読み直すと不埒な事を考えてみたり。
下巻のアレクセイとシュヴァーンの関係を見て長距離恋愛に失敗した二人的な・・・<黙

怪しげな妄想が止まりません。

↓はあまりに小説が頭の中をぐるぐるしているのでリセットする為にも小話一つ。
騎士団は今日も平和です。




本日も晴天なり



仕事の合い間にザーフィアスへ立ち寄り久しぶりにフレンの顔でも見に行こうかとおっさん経由で顔見知りになった城の門兵に軽く挨拶をして最近譲ってもらったと言う団長室へと向った。
小隊長の時は壁をよじ登ってお邪魔したものだったが、エステル曰く芸術的な庭を横切った先の部屋が新しいフレンの部屋だと思うと随分と楽に遊びに行く事が出来て、それは便利だった。
今日も何時ものとおり庭を横切って行けば、遠くの廊下に見える橙の隊服に身を包む男が見えた。
最近ではすっかりレイヴンの姿が定着したと思ってたのに珍しいと、フレンの新しい部屋へ向う姿を眺めていた。
そう言えば、もうすぐ団長任命式があるとか言っていたような・・・そんな事をエステルから聞いたような覚えがあり、その打ち合わせか?と考えながらいつもの通り、フレンの机のある後ろの窓辺りまで来る。
そこまで近付けば部屋の中の会話が聞き取れた。
「フレン代行お疲れ様~」
言葉の内容はシュヴァーンなのに口調はレイヴン。何処かくすぐったそうにレイヴン隊長もお疲れ様ですと言う丁寧な返事を聞いて窓の鍵を開けてもらおうとノックをするべく手を伸ばした所で続いた言葉に思わず固まった。

「フレン、だいてください」

え?と思った瞬間思考が固まったかと思えば物凄い勢いで何かを整理するかのように色々な言葉が頭の中を駆け巡った。
これは新手の挨拶なのか、騎士団の流行なのか。はたまた親愛の情か、愛情表現の一つか、それもと窓から現れる俺への嫌がらせか。
男同士、いや、レイヴンに限ってそれは無いよなと思いながらもあと少しで窓ガラスを叩こうとする手を引く事も、そして動かす事もできないでいた。
それから暫らくの間もなく

「わかりました。ですが少しお待ちいただけますか?」
「フレンちゃんにだいて貰えるならいくらでも待っちゃうわよん」

語尾にハートでも飛びまくるのでは無いかと言うような言葉とフレンの相変らずな真面目の声に待てと頭の中で何かが警告するも、部屋を覗きこんで幼なじみと胡散臭いおっさんの濡れ場が展開していたと想像したら思わず血の気が引いてきた。
フレンならよりどりみどりだと思っていたのに、なんでよりにもよってあんなおっさん・・・あんなは失礼かもしれないけど10以上も離れた男と・・・それから先の想像には思考が勝手にシャットダウンしていた。
それは最後の良心だろうかと思うも、窓を叩こうとして伸ばした腕が震え、コツンと小さな音を立ててガラス窓を叩いていた。
しまったと思って逃げたくなるもそれより早く窓を開けてひょいと外を覗き込んだフレンと目が合った。
「ユーリ、君はまたそんな所から来たのかい?」
「あら~?青年、お久し振り」
一呼吸遅れて同じように顔を出したレイヴンの差し出された手を見てあー、と言葉を濁しながら
「お邪魔じゃなかったか?」
聞くも何がと言うように首をかしげたフレンと何かに思い当たったかのようにニヤニヤとしだしたレイヴンに自分の失敗に気がついた。



レイヴンの手を借りてフレンの部屋に入れば、フレンに少し待ってくれといわれ、その合い間におっさんがお茶を入れてくれた。
その間もずーっと何か言いたげに口元を緩めるおっさんの視線から顔をそらしていればお待たせとソファの所までやってきた手には一枚の書類を持っていた。それをおっさんに手渡せば、書類を丁寧にファイルへとしまいながらフレンを見る。
「フレンちゃん聞いてよ、青年ってばねぇ・・・」
意味ありげな笑みを浮かべながら俺の妄想をレイヴンは間違う事無く語りだす。
最初はキョトンとしていたフレンも笑うのは失礼だと言うようにこらえるも、引き攣り震える頬や肩、口に出さずとも如実に語る顔で、思わず握り締めた拳の行き場がわからずただ発散されない力をこらえるように宥める。
「た、確かに僕も初めて聞いた時は驚いたけどね」
数分ののちに何とか落ち着いた失礼な幼なじみは目尻に涙を溜めて俺を見てもう一度小さく噴出す。
「勝手に勘違いしたのは悪いと思ったけどな」
フレンとレイヴンと言う組み合わせだ。ないともいえないと思いながらもやっぱりダメだと否定する。
「代行手続きのサイン下さいって長いじゃない?だからこう言う略語って生まれるのよ」
「だからってだいてくださいは無いだろ・・・」
確かに最初は照れるものねとおっさんも同意してくれる中でフレンもほんの少し過去を思い出して真面目な、でも何処か照れたように白状する。
「僕も最初判らなくってレイヴンさんを抱きしめちゃったからね。ユーリの言いたい事よく判るよ」
え?と思うよりも早くレイヴンもフレンも二人顔をそらして噴出すように笑い出す。
「ひょっとしたらと思ったけどまさか本当にやるとは思わないでしょ?!」
「僕だってまさかとは思ったけど真面目な顔して言われたら言葉のとおりの意味に取るしかないじゃないか」
確信犯と哀れな子羊の寸劇を想像して痛む頭を押さえつけ
「騎士団って平和だな」
「平和の為の騎士団だ」
当然だろと誇らしげに語るフレンに大丈夫かよと呆れつつ、おっさんの怪しい騎士団の隠語口座に真面目に耳を傾けてみた。

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