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拍手ありがとうございます!
GWの間パソコンから離れていたら何を書いていたのかすっかり忘れてるという罠に陥りましてこんにちは。
思い切って放り投げたい衝動に駆られましたが・・・とりあえず読み直してああ、こう言う話だっけと記憶を発掘しました。
過去作品を読み直すのって拷問に近いです。
誤字とか、誤字とか、誤字とか。
あまりに恥かしくって穴があったら入りたい気分ですが、それを軽くスルーできるようになった無神経さが人間駄目になった証拠だと思います。

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げて!

ダブルセカンド 18



副官殿に案内されてリタ達と共にアレクセイ達隊長格が会議の場を開いている所に俺達は混ざった。
アレクセイはリタ達の到着を待っていたかのように会議の場を大きく広げた。
そこに今度はギルド側からも会議に参加と数人の男達がやってきた。
当然筆頭にたつ男はドン・ホワイトホースその人だ。
年の割りに筋肉隆々、足取りは確かで、不遜な態度が見事はまり役の悪役顔。
隣に孫のハリーと天を射る矢の面々を従えての登場にアレクセイは会議を一旦止めた。
「おう、今回も大所帯だな」
ぐるりと仰々しく周囲を眺めてアレクセイに視線を戻した顔を見る。
何処か余裕あるしわがれた声は良く耳に馴染んだもの。
今だ褪せていない記憶が留める声と比べ合わせても遜色ないその声音に目頭が熱くなるのを何とかこらえる。
呼吸を深く繰り返し、何とかその衝動を凌げばアレクセイの声がこれからの事をつげた。
「今回はアスピオの研究員を伴ってケーブ・モックに入る。
 光の発生源の調査は前回大人数で挑んで犠牲者しか出さなかった事を踏まえて選抜隊を組んで挑む事にした」
言えばイエガーがアレクセイの横に並んだ。
「イエガー隊隊長の彼にダングレストの周辺警護の指揮を取ってもらう。
 そして私を筆頭にフレン、ユーリ、アスピオの魔道士リタを同行」
名前を呼ばれた二人はそこで敬礼をとる。
「補助要員としてエステリーゼ様、ジュディス、そしれレイヴンもこの作戦に参加する」
女の子二人がかわいらしくドンに挨拶をすればドンは渋い顔をする。
「少人数精鋭はわかるが、女子供で大丈夫か?」
じろじろとふわふわの砂糖菓子のようなエステルと、最年少になるだろうリタを見比べる。
イカ仕様のジュディスとおっさんの俺なんかはまったくの問題外らしい。
陽気な声でからかわれていた頃を思い出せばなんだか少し寂しい気もするが、姿は同じとは言え俺が尊敬したドンでは無い。尊敬に足りる人物だとしても、俺は間違える事は無い。
まだ古い過去とは言えない思い出に浸っていれば、刺青を入れた顔が俺を眺めていた。
仮令別人とわかっていても、こうやってマジマジと見られると見の置き場がないというかなんと言うか。むず痒いものがある。
「おう、これか?前に言っていたレイヴンって奴は」
俺を正面に見据えながらもアレクセイに問う。
「ああ、彼がレイヴンだ。何所かで会った覚えはあるかな?」
腰を屈めてじーっと俺を見詰める。
黄色く濁りだした白目が俺を真っ直ぐ捕らえる。それから暫らくの間そのままの姿勢で、何事もなく老人と言うには失礼なくらいの機敏さで離れてアレクセイを見た。
「わりぃな、知らない顔だ」
ふるふると顔を振ってから俺を見る。
「すまねえな、役に立てなくて」
言って、幼い子供にするように、肉厚の剣を振るい慣れた手が容赦なく頭を撫でる。
「あ、いや・・・」
どの世界でも変わらない仕種にすぐには言葉が出ない。
とりあえず逃げる事もできず気が済むまで頭をぐしゃぐしゃにされれば、隣にいたハリーが可哀相なものを見る目で俺を見ていた。どうやら同情されているらしい。記憶をなくしてという設定ではなく、この歓迎に。
うん、気にしなくていいのよ。知らないだろうけどおっさんだって慣れっこなんだからと手櫛で適当になおせば話は既に進んでいるようだ。
イエガー隊、キャナリ隊は総てイエガーの指揮の元、ダングレストの西側に配置され、ユニオン中心のギルドは東側が担当になった。どうやら前回と同じらしい。
そんな団体一行様に途中まで守られながら森に近づくにつれて森から逃げ出した魔物を相手に俺達はケーブ・モックへと向かい、森の入り口・・・俺が居た世界と同じように何度も魔物に踏み荒らされた荒れた森を目前に侵入を拒むかのような巨木を見上げていた。
「前よりも随分荒れてるな」
ポツリと言葉を零したユーリの言葉に、自分の世界のケーブ・モックも更に酷くなってるのだろうかと心配をする。
この一団の先頭でエアルの流れを調べる為に森に向ってコンソールを開いたリタが考えるように腕を組み、理解不能のこの現象にいらだたち気に足が地面を踏み締めていた。
ただコンソールを見つめる視線は酷く真剣でなにやらぶつぶつと聞き取れない声量で呟いていた。
暫らくもしないうちにパチンと静電気の音を立てるかのような音と共にコンソールを消してアレクセイを見上げる。
「とりあえず、ここからじゃ遠すぎて詳しく調べられないわ」
フムと頷いたアレクセイはリタを見下ろし
「では何処へ向えばいいのかわかるのか?」
至極尤もな事を当然のように真剣に聞く。
それに対してリタもこれまた当然のように
「エアルの一番濃い場所までお願い」
近くのお菓子屋でおやつを買って来て的ななんて事無いお願いのように口にした。
「それが判れば苦労しないっつーの」
頭の後ろで腕を組み、たぶんこの場全員のツッコミを代表して言葉にしてくれたユーりにリタは鼻で笑う。
「男が揃いも揃って情けない。まあいいわ。とりあえず行きましょ」
自分の養父を含め、騎士団有数の有名人を小馬鹿にする事を許されるのは皇族と誉れ高い貴族とこの少女ぐらいだろう。
身の丈よりも太い幹を攻略しようとしがみ付いてよじ登っていく様は年相応に見えるのにねと苦笑を隠しながら俺も立ちはだかる倒木の攻略に挑む。
情けないといわれた養父達は軽く落ち込みはしたものの、汚名返上と言うように身軽に倒木を乗り越え、リタやエステルの木登りに手を貸す事で名誉挽回とした。
ちなみにジュディスちゃんはこんな倒木なんて気にも留めずひとっ飛びで幹の上に立っていた。
「さすがジュディスです!」
エステリーゼの尊敬の眼差しを一身に受けた彼女は誇らしげにありがとうと腕を後ろに回して小首傾げて笑っていた。
イカ仕様で。
「さて、どっちに向えば良いのだ?」
一度この木の幹の上に立って判った事だが、後は倒れた倒木伝いに森の奥へと向う事が出来るようだ。
魔物が引き起こした森の破壊のすさまじさにフレンは難しい顔をしている中アレクセイがリタに尋ねる。
「そうねぇ・・・」
ぐるりと周囲を見渡しコンソールを開くも自然界に存在するにはあまりの濃いエアル濃度に数値を見たぐらいでは判りもしない。
考えあぐねているリタに代わって俺が手を上げる。
「はいはーい。俺様ひょっとしたら案内できるかもよ」
何で?と言う一同の視線を受けながら森の奥に向かって木の幹の上を歩く。
「何であんたがわかるのよ」
疑問はぶつける、討議するを実践するリタにすぐに答えは上げない。
「それが判っちゃうのよ」
すごいでしょ?といえば胡乱な目付きでにらまれてしまう。
さすがにプライドを傷つけてしまったかと思うも、これぐらいでくじける天才少女では無い事ぐらい理解してるつもりだ。
「それにほら、こんな時ぐらい役に立たないと団長さんからの厚意を無駄にしちゃうでしょ?」
養子とは言え娘二人から義父を奪っていたのだ。
親子と言うには何処か割り切った感はあるけど、紙面上でも親子は親子だ。
ひょっとしたらあっただろか貴重な家族の時間をこの一月独占していた事を思えば借りは返せるうちに返しておくという物。
何か引きとめようとするアレクセイの声を無視してピョンピョンと幹を渡り歩いていけば程なくして大した理由も知らされずについてくる事になった足音が近付いてきた。
ケーブ・モック大森林と同じ名前を頂、同じ位置に在所するこの森の細かな事までは良くは知らないが、俺が居た世界のケーブ・モックが雨に打たれた森とするなら、ここのケーブ・モックは霧に包まれた森だ。
常に視界は悪く、木々を包む厚く茂ったコケに足がとられやすい。
フレンがエステリーゼの手を取り導くように、リタもジュディスと手を取って足を取られないようにしている。
ジュディスもさすがにこれだけ森の中まで来ると白い鎧自体を脱ぎ捨て、何時ものセクシーな服ではなくミョルゾの子供と戯れた時獲得した衣装を身につけていた。
これはこれで彼女の魅力を十分引き出して入るのだが・・・
「おっさんとしては納得できないわ」
彼女の基本はやっぱり青色のセクシー衣装でしょと心の中で何度も繰り返す。
更に納得できないのはだ。
「向うの木に飛び移るのなら私が先に様子を見よう」
アレクセイは次に移るはずの幹に先に飛び移り、足元のコケが滑らないか確認をしていた。
そして大丈夫だと確認をすれば俺に向って満面の笑みで手を差し伸べる。
「さあ、大丈夫だ」
背後で待機している娘さん達の目の前に俺様はどんな態度でその手を取ればいいのだろうかといっきに脱力せずには居られない。
俺様に如何しろと・・・
軽く途方に暮れていれば背後でなにやら怪しい会話。
「フレン、こう言うときこそポイントを稼ぐ時ですよ!」
「え、エステリーゼ様?」
「あんたもはっきりした態度取らないからあの男がキショク悪くなるんじゃないの。
 男らしくはっきりした態度を取りなさいよ」
「リタ、さすがに義父様に向ってそれはなくてよ」
い、居た堪れなさ過ぎる。
前も後ろもなにやら怪しげな思惑が渦巻く中、如何するか悩んでいれば、体がふわりといきなり浮いた。
「うわっ、って、せ、せえねん?!」
いきなり抱きかかえられたかと思えば軽く助走をつけてアレクセイの手を取らずに飛び移った。
「こうすりゃ手っ取り早いってな」
アレクセイを一瞬見た後に晴れやかに笑うユーリの突然の事に目を白黒とする。が、
「フレン、ユーリみたいに颯爽とお姫様抱っこぐらい出来ないとレイヴンに振り向いてもらえませんよ!」
何か怪しげな説教を力説するエステリーゼに誰ともなく無言でフレンから視線をそらす。
彼女は何の教育係だろうかと・・・夢見る少女は何かとロマンチストであるのはどの世界でも変わらないようだった。

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