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空に向かって手を上げて
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布教の合い間に意地でも書いたダブルセカンド22。
いつのまに20台に・・・<反応オソッ!!
明日大仕事を終わらせたら一先ず園芸の仕事はお休みできる。
いや、他にもやらなあかん事あるけどね。
とりあえず区切りに辿り付く・・・
つくのか?

おっさん総受ワンダーランド。
苦手な方は見る前に逃げて!

ダブルセカンド22



ぼんやりと明けだした空を見上げアレクセイが洞から出た。
「もう魔物も随分と大人しくなったな」
耳を澄ませて魔物の足音を拾うもあの津波のような足音は収まり、遠くでざわめく甲高い魔物の声だけが聞えた。
「大体朝になる頃には魔物も落ち着くから、もうちょっとゆっくりしても大丈夫よ」
落ち着いたと言ってもまだ殺気立ってる魔物に下手にちょっかいは出したくない。
せめて太陽がしっかりと昇ってから動くのが賢明な判断なのだろうが、何処からか現れた魔物をアレクセイの剣が一閃した。
フレンもユーリも剣を持って立ち上がるも、昆虫型の魔物一体だけだっかたら、仕留めた後アレクセイは少し離れた崖下に魔物を突き落としていた。
「おおー、結構高いな」
突き落とした魔物を見送るように崖を覗き込むユーリと並んで覗き込めば、何所かで見た事ある風景。
切立った崖の下にも悠然と広がるケーブ・モック大森林。
一面に広がる緑の絨毯と朝靄のようなこの森特有の霧をベールのようにふうわりと覆っている。
霧に遮られてこの季節特有の強烈の日差しは朝早い時間も重なってほんわりとした光線となり、霧に乱反射し太陽柱を作り出していた。
「美しいです」
誰ともなく大自然の奇跡に溜息を零し、エステルの感動した声に誰ともなく頷くなか俺はこの広大な森のデジャヴにも似た景色を食入るように見ていた。
確かこのもう少し先・・・
倒木された木々が記憶に残るも生態系が違う。
環境も違えば目印になる物が一切ない中で周囲をきょろきょろと見回す。
たぶんこの崖から落ちたと思う。
天才少女は記憶をなくした時の状態になれば戻るんじゃないの?と物語のセオリーどおりの言葉を吐いたが、今となってはそれにかけるしかない所まで追い詰められていた。
別にこの世界が嫌いでは無い。
寧ろ好きだし大切で、かけがえのない思いが溢れていた。
夢でも幻でもなく、もう一つの可能性がつまった嬢ちゃん風に言わせると平行世界と言うのだろうか。
とても温かくて優しく、かつての夢と理想が溢れたこの世界を嫌いとはとてもじゃないが口に出せない。
だけどそれを引き換えにしても代えがたいモノがあちらの世界にはあるのだ。
誰もが諦めても俺の帰還を信じて待っているだろう彼に太陽の位置を確認しながら転落した場所を探す。
きょろきょろと太陽と足元を見比べていれば
「レイヴンさんどうなさいました?何か落し物でも?」
フレンがそばにかけ寄って来た。
どの世界でもこの若者は親切だと思いながら
「いやね、確かこの辺から落ちたと思ったんだけど・・・俺が」
周囲を見回せば、少しだけ一ヶ月前の俺を思い出してか痛々しい表情を浮べ崖の下を覗きながら
「もう少し先の場所で怪我をしたレイヴンさんを発見しました」
案内する背中についていけばここだと教えてくれた。
改めてみればよくこんな高さから落ちて生きていたなと自分で呆れてしまうも、転げ落ちながら何度か崖の出っ張りに衝突して途中どころか早々に意識を手放したのだ。
それはそれで幸せだったのかと思っていればあの、とフレンの呼びかけ。
「なにかお探しなら一緒に探しますが」
落ちる前に何か落としたのでも思っているのだろう。
「いやいや、落ちたのは俺だけだから落し物なんてなかったはずだけど」
言いながら崖を覗きこむ俺にフレンの瞳が揺らぐ。
「あなたは・・・一体何処から来たのですか」
普通なら無事ではありえない高さからの転落にさすがと言うか疑問を持たずには居られない彼の意見に俺も同じ気分だが
「そうね、ダングレストからって言ってもいいのかしら?」
呟きながらもフレンの視線はまったくと言っていいほどその言葉を信じていなかった。
俺なんかを信じてしまうくせに、カンが働くのか言葉を見抜く洞察力は見事なものだと思う。
「それとも騎士団からと言った方がいい?」
甘めに作られた顔が不意に歪む。
まったく意味が判らないと言ったところだろう。
「悪いけど嘘はついてないわよ」
混乱をきたす顔を隠す事すらせず言葉を無くしている彼に笑みを向ける。食えないおっさんだと度々言われる時のアルカイックスマイルを。
無言のまま見詰めるフレンにそれとなく周囲を確認するかのようにまた朝靄のかかるケーブ・モックの森を眼下に眺めながら
「俺様だってわかるものか」
やや捨て鉢に言葉を吐いた後可能性のひとつとして胸を押さえる。
これまでの戦闘で疲れているのも無理をしているのも承知だが、アレクセイの同行にデュークが居た時見たいに少しは楽かもしれないが徹夜の仕事はさすがに堪える。
不意の息切れに心臓に当たる部分の服を握りしめれば、いつの間にかフレンが体を支えてくれていた。
「大丈夫ですか?」
大声で騒がない事には感謝するがあからさまに驚く顔に思わず苦笑。
「この心臓は無茶をするとすぐこれだから心配ないわよ」
「ですが・・・」
一瞬気を失っていたのだろう。側に居たとは言えこうやって支えてもらってる合間がなかったのだ。
生真面目な彼だから心配させてしまったかと思うも、隠し持っていたグミを取り出し齧って何とか飲み込む。
何処か唖然としたままのフレンに苦笑を零しつつも、何とか納まった息苦しさにふと思いついた。
「ひょっとしたらこいつが何か知ってるかもな」
コンコンと魔道器の石に当たる部分を軽く叩いた。
今はこんな硬い宝石にも似た石の姿だが元をただせば始祖の隷長だ。
しかもボス戦をはれるような奴らの転生した姿がこれだ。
いや、後に精霊になる事を考えるとイモムシが蝶になる過程の蛹の状態だろうか。
ヘラクレスで出会った聖核にだって意思があったのだ。
こんなおっさんなんかと運命共同体になってしまった聖核にだって何か意思を持っていても問題は無いだろう。
ただ、過去を振り返れば聖核が俺を助けてくれる確率はないに等しいほど非常に低いはずだが・・・まあいい。
何度も転生して質量さえ無視した姿に変わる不思議な彼らに今更不思議が一つや二つ増えたってどうって事は無い。それはジュディスちゃんやリタっちの仕事だと可能性の一つとしてだけ記憶に留めておこう。
「心臓魔道器でしたっけ?そんな複雑な機能があるのですか?」
不思議そうに胸の辺りを見るも服の上からでは見えないだろうと目はそれでも真剣に覗いている。
「さぁ。でも大将が作った魔道器なら不思議があってもおかしくないわよ」
「不思議・・・ですか?」
困惑する顔はきっと悪の魔法使いのイメージでも作り上げているのだろう。
瓜二つの気持ちまともな彼がすぐそこに居るとは言わずに、組んだ片手を顎に当てて考え込む姿に気付かれないように笑えば
「所で気になったのですが、その大将と言う人がレイヴンさんの恋人ですか?」
「ぶっ!!!」
いきなりの言葉に噴出すのは仕方がない。
思わず下がって逃げたフレンには申し訳ないが
「な、何て事をいきなり言うのよ?!」
思わず1オクターブ上擦った声で驚くのは当然だ。
「いえ、ですが、その大将って人がレイヴンさんの為に禁忌とわかっていても心臓魔道器を作って、その結果あなたが手放しで喜ぶとは思わないことを予測しても生きて欲しいと願ったのでしょう?」
研究費用の事や開発の費用、ぶっつけ本番になった心臓魔道器の適合者の数の少なさを考えれば失敗と言っても間違いない結果だ。
再開発をやめ心臓魔道器の研究機関自体を閉鎖した情熱はそのままヘラクレスへと移されたが、アレクセイが何を思って俺にこれを与えたのかまではついぞ考えた事はなかった。
「今となったらそれも判らないけど、俺は丁度良い手駒ぐらいにしか考えた事はなかったわ」
手ごまと言う言葉に不快に顔をゆがめるが
「その方は亡くなったのですか?」
「絶望に打ちひしがれて逃げたのよ」
散々人を生かし続けて自分はあっけなく死を選んだ最後の悲しげな微笑はいつまでも忘れる事が出来ない。
最初の最後で見た涙があんなタイミングだなんて思い返すのも辛い。
酷い上司ではあったが、彼にも彼なりの正義があったのは確かだ。賛同は出来ないがとつけくわえれば更に申し訳なさそうな顔が俺を見ていた。
「すみません」
元々根掘り葉掘りと聞きたがる彼では無いだろう好奇心は後悔しか彼に残さなかったが、今なら気にしないでと笑って言える。
「まあ、そういうわがままな所さえ隠せばいい男だったんだけどね」
ウインク一つ加えれば何処か苦しげに唇を噛む顔が、一人の嫉妬する男へと変わる。
若いなあと思いながら笑いとばそうとしてやろうとするも、意識が突然森の奥へと向けられた。
同様にフレンも視線を投じれば森の置くから魔物の集団がやってきた。
「近くに居たか?!」
「みんなと合流しましょう!」
魔物はあからさまにエステルやリタの居る洞のほうへと足を向けて狙っていた。
いくら今確かな足場があって、魔術を練るだけの時間があるとしてもだ。さすがにこの数は酷いと思い駆けつければ既にアレクセイたちが動いていた。
エステリーゼが口早に唱えるシャープネスとバリアーの連続呪文を邪魔されないようにジュディスが守りながら、エステリーゼの背中側でシャンパーニュやスプラッシュと天候を計算しての技が次々と繰り出される。
技のレパートリーを見てると場数を踏んでないのか大技が出て来ない事に舌打ちをする。
次々と群を成してやってくる魔物はいつの間にか周囲を囲んでいて突破するにも骨が折れそうだ。
背中は崖だし、こんな事にならない為に足を動かし続けていたのだが、僅かな休憩で無駄になってしまった。
「かといってこいつらをまともに相手して無駄な体力使いたくないんだけど!」
大きな声でアレクセイに如何するか指示を訊ねるも、アレクセイもこの少女たちを守りながら魔物を相手し、更に突破口を造るとなるとさすがに難しいらしい。
「とりあえず数を減らす事に専念しよう」
タイダルウェッブと解放った上級魔術に彼も魔術に精通している事に何処か安心を覚えた。

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